腹筋下部と腹横筋を鍛える「シザース」のトレーニング方法を実演・解説します。脚を左右交互に上下させることで腹筋下部と腸腰筋に負荷が加わり、同時に肩甲骨を浮かした体勢で上体を保持することにより腹横筋に働きかけます。



鍛えられる筋肉

第1ターゲット ・・・ 腹筋下部 腸腰筋
第2ターゲット ・・・ 腹横筋

種目解説

シザース(=はさみ)は、文字通り、脚をはさみのように上下させることで腹筋下部と腸腰筋を鍛えるトレーニング方法の一つです。
また、上体を固めた状態で保持して動作するため、腹横筋にも働きかけます。

腹横筋は腹斜筋(内腹斜筋)の下の深い位置にあり、機能としては「内臓を正しい位置に保つこと」と「姿勢を安定させること」にあります。

このことから、コルセットの役目を担う筋肉であるといえ、強化することでウエストの引き締めやウエストサイズダウンなどにも効果を発揮します。

シザースは、機能とボディーデザインの内外両面から身体を変えていきます。

動作方法

  1. 仰向けになり、手は体の横に伸ばしておきます。
  2. 肩甲骨を床から浮かして腹直筋を固めます。脚は床から浮かし適当な高さに上げます。
    ・腹直筋は常に力を込めた状態を保つようにします。この体勢を保持することで腹横筋の強化と腰への負担を軽減します。
    ・腰を床に押し付けるようにして腰の反りを抑えることで、さらに腰の負担が軽減されます。
  3. この姿勢がスタートポジションになります。

  4. この姿勢から脚を交差させる形で上下させます。
  5. 一方の脚は太ももが垂直になるまで上げて、もう一方はできるだけ低く下ろします。
    ・可能な部分は膝を伸ばし上げていきますが、途中で膝を曲げないと上げにくくなると思います。その場合は、やや膝を曲げて上げるようにします。
  6. ・下ろした時は、足が床につかないようにします。床につく直前で動作を切り返して上げる動作に移ります。

  7. この動作をリズミカルに所定の回数行います。1往復(2回交差)で1回とカウントします。


ポイント

  • 上げにくくなったら膝を多少曲げてもいいので、太ももが垂直になるまでしっかりと上げるようにする
  • 下ろした際は、足を床に付けない。動作中は、両脚とも常に浮いた状態を保つ。
  • 体力的にうまく反復できない場合は、上体を起こし肘を床に付けた体勢で行ってもOK
  • 常に腹筋を意識する

目標回数

15~20回(左右で1回)×2~3セット

体幹強化と腰の負担軽減を同時に実現

シザースは下腹部を鍛える種目ですが、このシザーズでは肩甲骨を浮かし上体を少し起こした体勢で行うため、体幹トレーニングも組み合わされたトレーニングになっています。(股関節の屈曲運動は腸腰筋がメインで働く運動なので、結果的に腸腰筋も鍛えられますが、ここでは脚の重さ耐える作用により下腹部を鍛えることをメインの目的としています)

その結果、腹横筋も同時に強化されることになります。

加えて、上体を少し起こし腹直筋を固めることは腰への負担軽減にも役立ちます。
どうしても脚を上下させるような股関節の屈曲が伴う動作は、腸腰筋が負荷に耐える過程(脚を下ろす局面)で骨盤が引っ張られることになります。
それゆえ、腰(腰椎)が反ってしまうわけですが、これが腰に負担をかけてしまう一つの要因となってしまうんですね。

そこで、体幹を固めて骨盤が引っ張られる力に反発することで腰の反りを抑えます。
これにより腰への無用な負担を軽減します。

さらに言うなら、動作中に腰を床に押し付けるような力を加えておくと、さらに腰への負担は軽減され、より安全に動作を行うことができます。
寝た体勢で行う脚の上下運動では、いかに腰の反りを抑えるかが腰への負担軽減に繋がります。

筋トレは筋力を強くしたり、引き締めたり、筋肉を大きくしたり、自己の肉体を高めるための手段です。
怪我をしてしまっては本末転倒になってしまいます。
効果を高めるには安全にも十分に配慮する必要があると言えます。

管理人が「シザース」をやってみた感想

脚の上下と同時に動作中はずっと背中を浮かし体幹を固定して行うため、意外と体力を使いプルプルしてくる感じを受けます。

そこを我慢して続けるわけですが、それにより下腹部だけでなく、体幹にも効いていることが実感できトレーニング効果としては大きいものになります。

体幹を固定することで腰が反ることもなく、下半身の動作も安定したものになりました。

ちなみに、シザースは片足ずつ負荷を加えるため、レッグレイズよりも下腹部への負荷は軽くなります。
ただ、体幹を固定しているためトレーニング自体はレッグレイズよりも強度、疲労度ともに高いと言えます。

逆に言えば、レッグレイズも背中を浮かし体幹を固定して行えば、体幹強化と同時に腰の負担軽減に役立つトレーニングになるでしょう。
その場合、体幹部についても強度が高いトレーニングになり、全体を通してシザースよりもきついトレーニングなることはたしかです。

シザースは一般的ではないかも知れませんが、腹部のトレーニングとしては非常に有効な筋トレ種目です。
目的に応じて取り入れることは、よい選択だと思います。