「トレーニング3原理」について基礎を学びます。トレーニング3原理とは「過負荷の原理」「可逆性の原理」「特異性の原理」のことを指します。これらトレーニングにおいて体に表れる基本原理には、それぞれどのような意味があるのか学んでみましょう。
概要と補足
トレーニング3原理である「過負荷の原理」「可逆性の原理」「特異性の原理」を詳しくみていきます。
過負荷の原理
過去に経験した負荷よりも高いトレーニング強度やストレスを体に与えなければ、さらなる成果を得られないことを伝えています。
つまりは、過負荷の原理に従って強度を高めていかないと体の変化や成果は限られたものになります。常に同じ重量や反復回数で行っても維持はされても、成果は上がっていかないと言うことです。
そのため、成果を継続して上げていこうとするなら、重量や反復回数、セット数を増やしたり、セット間の休憩時間を短くしたり、あるいはトレーニングそのものの回数を増やしたり、体に対する強度やストレスを高めていく必要があります。
ざっくり言えば、トレーニングに慣れてきたら漸進的に強度を上げていかなければいけない言うことです。これを漸進的過負荷と言います。
可逆性の原理
トレーニングを中止すれば、やがてトレーニングの効果がなくなっていくことを伝えています。
個人差はありますが、一般的にはトレーニングを中止して、1週間くらいから”筋力”が落ち始め、2週間くらいから”筋量”が減り始めると言われています。筋量については、速筋繊維でより早く減り始めるとされています。
ただ、可逆性の進行は比較的遅く、急速にトレーニング前に戻ってしまうことはありません。
研究によると、トレーニングを行ってきた女性が約8ヶ月間トレーニングを中止した場合、筋力が著しく低下したが、トレーニング前よりも筋力レベルは高かったとあります。
とはいえ、トレーニングを中止したら可逆性の進行は避けられません。
それまでのトレーニングの状況によって、週1回~2回のトレーニングの継続である程度筋力を維持できるとされています。
特異性の原理
トレーニングした内容に応じて効果が表れることを言います。
つまり、ある効果を得ようとしたらその効果が得られるのに適したトレーニングを行わなければならないと言うことです。
逆に得ようとする効果に適したトレーニングでなければ効果が得られないか、限られたものになります。
例えば、胸をたくましくしたいと思ったら、ベンチプレスやダンベルフライなど大胸筋を鍛えるトレーニングをしなければ効果的な成果は上げられません。胸を鍛えたいのに上腕二頭筋を鍛えるバイセップスカールをしても効果は上げられないのです。
このような筋肉に焦点を当てた特異性を「筋群の特異性」とも言います。
また、スポーツなど特有の運動パターンの向上を目指そうと思った場合も、その運動パターンに類似したトレーニングを行わなければよい結果を得ることができません。
例えば、ジャンプを伴う動作があるスポーツにおいては、パワークリーン、パワースナッチ、スクワットなどジャンプ動作に類似したトレーニングを取り入れることで、ジャンプ力の向上につながります。
あるいは、マラソンの完走を目指しているのに短距離走のトレーニングをやっても完走することはできません。有酸素性運動を主体に距離を伸ばしていくようなマラソンに特異的なトレーニングが必要となります。
これを「運動パターンの特異性」とも言います。