刺激に変化をつけて筋肥大を促したい場合はもとより、短時間で腕(力こぶ=上腕二頭筋)をパンプアップさせて太くしたい場合に有効な筋トレテクニックです。筋肉の成長が停滞している場合や短時間でパンプアップさせたい人は、取り入れることで変化を実感することができるでしょう。
鍛えられる筋肉
第1ターゲット ・・・ ■上腕二頭筋
種目解説
可動域に変化を持たせた3種類のアームカールを連続して行うことによって、短時間で力こぶの筋肉・上腕二頭筋をパンプアップさせることができるトレーニングテクニックです。
トレーニングテクニックには、一例を挙げれば、スーパーセット法、コンパウンドセット法、トライセット法、ジャイアントセット法、ネガティブレップ法、ドロップセット法、パーシャルレップ法、フォーストレップ法、レストポーズ法、事前疲労法、チーティングなどがあります。
ここでは変則的にパーシャルレップ法とトライセット法を組み合わる応用ワザを使って、上腕二頭筋に十分なインパクトを与えます。
はじめの2種目でパーシャルレップ法を用い、最後の3種目めでフルレンジ(全可動域を使って)で動作します。
そして、各種目の間には休憩を入れず、トライセット法として3種目を連続して行います。
まずは、体力に合わせて中身が入った500ml~2Lのペットボトル、またはダンベルを用意しましょう。
最初は、比較的軽めの重量で行い、楽にできるようだったら、重いものに変更するようにします。
3種目いずれもアームカールを行うわけですが、動作で異なるのは可動域です。
1種目めは、ダンベルを下ろした状態から前腕が床と平行になるまで上げたら(肘の角度が90度)フィニッシュです。
ゆっくりと下ろし、所定の回数を同様の可動域で行います。
2種目めは、前腕が床と平行にしたポジションがスタートポジションになります。
そのポジションから、力いっぱい肘を曲げて上腕二頭筋を強く収縮させます。
上げきったら、ゆっくりとスタートポジションに戻り、所定の回数繰り返します。
そして最終3種目めは、フルレンジで行う通常のアームカールを行い、筋肉を疲労こんぱいさせます。手首を内側に絞り込むようにすると、より効果的です。
腕を触ってみて下さい。パンプしていることが確認できると思います。
テクニックの効果
パーシャルレップとトライセットで上腕二頭筋がまんべんなく刺激されると同時に持続的な力を発揮する動作が行われます。
それにより乳酸などの代謝物の蓄積が促され、短時間でパンプアップが図られるというわけです。
特に持続的な力発揮は、筋内圧が高まり血流を制限します。それが引き金となって筋肉が低酸素状態になることで乳酸などの代謝物が蓄積されることになります。
血流を制限すると言う点においては、スロートレーニング(スロトレ)もパンプアップ効果が高いと言えます。
ただし、スロトレはゆっくりと動作することで血流を制限するため、短時間でパンプアップとはいきません。
パンプアップの仕組みとしては、体の組織は乳酸などの代謝物が蓄積されると溶液濃度を一定に保とうとする働きがあります。
その際に周辺から水分が筋肉内に取り込まれ、溶液濃度を薄めます。
その結果、組織に取り込まれた水分により筋肉が大きくなり(筋肉が成長したわけではない)、パンプアップした状態になるのです。
したがって、パンプアップは一時的な現象であることも認識しておく必要があります。
つまり、一時的に筋肉が大きくなったように見えるということですね。
その効果は、おおよそ10分~20分程度であると言われています。
このことから一時的に大きく見せたい場合にパンプアップさせることの有用性があると言えます。
具体的にはボディビルダーなどが筋肉の見栄えを良くするため、舞台へ上がる前にパンプルームなどでパンプアップさせておくといったことが挙げられます。
あるいは、しっかりと筋トレできた証として一時的にでもパンプアップしたことは、モチベーションの維持にも役立つでしょう。
パンプアップして一時的に太くなった筋肉は、実質的にその太さ(大きさ)になる潜在力を持っているとも言われています。
したがって、いずれパンプアップした状態が当たり前になるくらいに筋肥大できる可能性があるので、諦めずにトレーニングを続けて下さい。
さて、ここまでパンプアップのことばかり述べてきましたが、ここで紹介しているトレーニングはあくまで筋肥大を促す筋トレです。
その中で、短時間でパンプアップを促すことができるトレーニングであると理解して下さい。
誤解を恐れずに言えば、パンプアップはおまけのようなものです。
筋肥大トレーニングの中でもパンプアップしやすいテクニックを使っていると考えて下さい。
よって中長期的な効果としては、マンネリ化やプラトー(成長の停滞)に陥った場合などに、新たな刺激を入れて、さらなる成長、筋肥大を促すことができます。
また、ピリオダイゼーションを考慮したトレーニングでバリエーションのひとつとして変化を付けることで、継続的な成長を促すことにも繋がるでしょう。
強度が高く、正確なフォームが求められるため、初心者には向かないトレーニング方法ではありますが、筋肉のよりよい成長のためにはトレーニング内容などに変化をつけることが大切になります。
経験を積む過程で取り入れることはとても有益なトレーニングになりますので、方法・テクニックのバリエーションのひとつとして覚えておくとよいでしょう。
以上を簡単にまとめると、
一回の筋トレによる効果としては、短時間で一時的なパンプアップが促される。
中長期的な効果としては、一回一回の筋トレによる成果の蓄積として筋肥大が促されることになります。
このように理解しておくとよいでしょう。
また、可動域を変えることで筋肉の伸張する長さに変化を持たせることができます。
そのため、同部位でも多様な刺激を与えることになり、上腕二頭筋を隅々まで動員することができます。
この点から弱点部位の強化という意味においても有効なトレーニング方法であると言えます。
ポイント
- 可動域が狭くなっても、その可動域内では正しい動作で反復するようにする
- どの種目においても、下ろす時はブレーキをかけるようにしてゆっくりと下ろすようにする
- 体力が付いて所定の回数が楽にできるようになったら、重量を上げるようにする
目標回数と頻度
- 【回数】(10回×3パターン)×1セット
※1セットが楽にできるようになったら、体力に応じて2~3セット実施 - 【頻度】2~3日おき
※疲労度に応じて調節する
※筋肉痛が残っていたり、違和感などがある場合はもっと空ける