広背筋を効果的に鍛えるための「ベントオーバーロウイング」の方法を解説・実演します。引くときにひねりを加えることで、一般的なベントオーバーロウイングに比べて広背筋への収縮がより入ります。一般的な方法を継続していく中で成長が伸び悩んだ場合などに取り入れることはとても有効です。
鍛えられる筋肉
第1ターゲット ・・・ ■広背筋 ■菱形筋
ベントオーバーロウイングとは?
ベントオーバーロウイングは、上半身を傾けた姿勢から腕を引くことで広背筋をメインに菱形筋も鍛えることができる背中の筋トレ種目です。
広背筋は引く動作によって収縮するため、引く動作が伴う種目は基本的に広背筋が刺激されることになります。
例えば、チンニング(懸垂)、ラットプルダウン、インバーティッドロウ、ワンハンドロウイング、チューブロウイングなどがあります。
その中でも最もオーソドックスな広背筋トレーニングがベントオーバーロウイングであると言えます。
フリーウエイトトレーニングにおいては、外せない背筋種目のひとつです。
一般的なベントオーバーロウイングは、手の甲を正面に向けるか”ハ”の字にして動作しますが、ここで紹介しているベントオーバーロウイングは、引くときにひねり(前腕の回外・肩関節の外旋)を入れて行います。そういう意味では、前腕を回外(スピネイト)させる動作ということで「スピネイテッド・ベントオーバーロウイング」と呼んでもいいかも知れません。
ひねりを入れる動作により、下ろした時はより広背筋が伸び、引いたときはより収縮することで、一般的な方法に比べて可動域全般において広背筋が十分に刺激されることになります。
特に引き切ったときに広背筋が絞り込まれることで、眠っていた筋繊維が動員され、さらなる成長へのスイッチが押されることになります。
取り入れるタイミング
広背筋の伸縮をより意識した「ベントオーバーロウイング」は、一般的な方法を習得したのち、取り入れた方がよいでしょう。
特に初心者の場合は、一般的な方法でも十分に広背筋を鍛えることができますし、正しい動作の習得にはオーソドックスな方法から開始するのが鉄則です。
経験値が浅く、正しいフォームが習得できてないうちにテクニックを取り入れることは、間違ったフォームの定着にも繋がりますので注意して下さい。
何ごともそうですが、焦りは禁物です。基本から開始して、応用に移ることです。
遠回りのようで、振り返ったときには近道だったと感じることでしょう。
この点から取り入れるタイミングとしては、フォームを習得し、一定の経験を積んだのちであることが分かります。
それを前提として、具体的には筋トレに変化を付けるためのバリエーションとして、あるいは成長が伸び悩んだり、停滞したとき、マンネリ化したときの打開策として取り入れるのが有効となります。
もっとも一般的な方法で自分が望んだ肉体になったのならば、特に取り入れる必要性はないかも知れません。
まだ求めている体になっていない、現状を打破したい、もっと広背筋を盛り上げたい、立体感を付けたい、このような場合に刺激を高める一つの方法として取り入れるとよいでしょう。
この方法は、現状打破、さらなる成長を目指す上で有効となることは確かですが、方法は一つだけではありません。
つまり、どのようなテクニック、応用的な方法でも言えるのですが、筋肉や骨の長さ、柔軟性(可動域)、反応の良さ悪さなど、一人ひとりに違いがあることから、すべての人に最適な方法はないと言うことです。
これは一見悩ましい問題であるかのように思えますが、より高みを目指そうとしている人の多くが通っている道であり、いろいろな方法を試す中で自分に最適な方法を見つけ出していくことも筋トレの醍醐味なのです。
そのような過程を経ていくうちに、いろいろな種目やテクニックを習得でき、知識も豊富になっていきます。
そして、技術と知識の引き出しが増えることで、筋トレメニューの構築、種目の選定、強度の調節など、その時々に合わせた自分だけのトレーニングプログラムを自在に作ることができるようになるのです。
言えることは、成長を高めるだけでなく、成否を確認するためにもバリエーション(変化)が大切だと言うことです。その中で自分なりの最適解を得ていくのです。
負荷を上げたり、落としたり、種目を変更したり、テクニックを取り入れたり、あるいは休憩時間を短くしたり、長くしたり、動作スピードを速くしたり、遅くしたり、セット数を増やしたり等々、バリエーションには様々あります。
このような変化を通じて経験を積むことで、肉体の成長が図られると同時に技術と知識も獲得できることになります。
話が込み入りましたが、筋トレを進める上で共通する原則としてここにお伝えしておきたいと思います。
ひねりを加えたベントオーバーロウイングのやり方とポイント
上記で説明したように、一般的な方法に比べて、ひねり動作を加えることで広背筋の収縮と伸張(伸び)が高められます。
それによって広背筋に十分な刺激を与えることができますので、”ひねり”を意識して実践してみるようにしましょう。
まずは、ダンベルを両手に持ち、膝をやや曲げて、上体を前傾します。
両手は肩の真下にくるようにして垂らし、手の甲を前に向けます。
この姿勢がスタートポジションになります。
この姿勢から、ダンベルの内側を外に向けるようにして、腕をひねりながらダンベルを引いていきます。
十分に引き切ったところで手の甲が内側(手のひらが前)に向いた状態になりフィニッシュとなります。
フィニッシュしたら広背筋の収縮を感じながらわずかに静止したのち、引いた時の軌道を通って、ゆっくりと下ろしていきます。
これを所定の回数反復します。
動作中は姿勢を保持(固定)し、上体が起き上がってこないように注意しましょう。
引くときのひねりは、自分が可能な範囲で十分にひねるようにします。
手のひらが外側に向くくらいのイメージ(実際には向かなくても)で強くひねると効果的です。
引き切ったときは、広背筋を強く収縮させて0.5~1秒ほど静止するのがポイントです。
これは十分な収縮がないうちに下ろす動作に移ってしまうことを防ぎます。
しっかりと収縮したことを確認してから下ろすようにしましょう。
一連の動作は、反動や勢いをつけずにコントロールしながら下ろすようにします。
下ろす時は、ブレーキをかけながらゆっくり下ろすように心がけて下さい。
目標回数と頻度
- 【回数】10回×3セット
※セット数は、体力アップに応じて5セットまで増やすようにします。 - 【頻度】2~3日おき
※疲労度に応じて調節する
※場合によってはもっと空ける