バランスボールの特徴を生かしてストレッチする8種類の方法を動画で実演・解説します。大胸筋、肩(三角筋)、体側、肩甲骨周り、股関節周りなど、道具を使わないストレッチではやりにくい方法、難しい方法を中心にご紹介します。
もくじ
ストレッチの効果
バランスボールで行うストレッチは、筋肉や腱をゆっくり伸ばすスタティックストレッチ(以下、ストレッチ)を指しています。
相反性神経支配を利用し、体を大きく動作させて行うダイナミックストレッチとは方法や目的、効果に違いがありますので、分けて考えて下さい。
スタティックストレッチにはいろいろな効果がありますが、主に以下のような効果があります。
筋トレやスポーツにおいては、関節可動域を拡大することによる怪我の予防、酸素と栄養の効率的な運搬、身体の状態確認・違和感発見、リラックス感の創出などがあります。
一般的な効果としては、不調の解消や軽減、疲労の軽減、姿勢の改善、筋膜の癒着・収縮予防、日常活動の改善(主に高齢者)などが挙げられます。
ストレッチをすることで様々なプラス効果を得ることができるので、日頃ストレッチをしていない人は、ストレッチを習慣にしてみてはいかがでしょうか。
なお、筋トレ前はその日の種目で使う筋群を中心に20秒以内の軽めのストレッチを行い、筋トレ後は入念なストレッチ行うようにします。
バランスボールで行うストレッチの特徴
ストレッチの種類や方法にはいろいろあります。
バランスボールで行うストレッチは一般的なストレッチと違いボールが持つ特有の機能や利点を生かしてストレッチできる特徴があります。
具体的な特徴としては、まず一つにバランスボールの弾力を利用して、優しくソフトタッチで伸ばすことができる点が挙げられます。
床を使ったり、自体重のみで行う場合に比べて、弾性を利用してじわじわと伸ばすことができ、急な伸張による筋肉や腱、関節への負担を抑えることができます。
次にバランスボールの高さ、幅を利用してストレッチできる点です。
つまり、ボールの立体的な特徴を生かしてストレッチすることができます。
高さがあれば、その頂点から下に向かって体を落としていくことで、その高さ分可動域を十分に使うことができ、通常では得られないストレッチ感を得ることができます。
最後にバランスボール特有の特徴、前後左右に自由に転がすことができる点です。
これがバランスボールを活用する上で最も有効な特徴だと言えます。
自分が動くのではなく、バランスボールを移動させること(移動すること)によって、自然な動作でストレッチすることができ、可動域も十分に使うことができます。
そして、際世の2つ”弾力性”と”立体性”が重なり合うことで、その効果は大きく拡大することになります。
バランスボールの特徴を生かして、これまで得られなかったストレッチ感と効果を実感してみて下さい。
バランスボールで行うストレッチの方法
大胸筋(2種類)、肩、体側、股関節周り、肩甲骨周り、腰周り(2種類)など、通常のストレッチではうまく出来ない方法、伸ばしにくい方法を中心に、それを補うやり方をご紹介します。
バランスボールで行うストレッチにはボールの特徴、特性を活用した方法があります。
特徴は上記で述べた通りですが、通常のストレッチとはまた違った有効性、ストレッチ感を得ることができます。
通常のストレッチに加えて、バランスボールを使ったストレッチを加えたり、下記8種類の中で自分が伸ばしたい部位が網羅されていればバランスボールストレッチのみ行ってもよいでしょう。
筋トレ前はひとつの部位に対して15秒程度を目安に軽めに行い、筋トレ後や日頃の健康目的で行うストレッチであれば30秒程度を目安に入念に行うようにしてみましょう。
(1)大胸筋全体をしっかり伸ばすストレッチ方法
大胸筋をバランスボールの特性を使って、しっかりと伸ばすストレッチ方法です。
バランスボールに乗せる腕のポジションを変えることで上部、中部、下部を可動域全体に渡って優しく伸ばします。
大胸筋の柔軟性が低いと肩を前に引っ張る力が働き、背中が丸まりがちになります。
その結果、猫背になり悪い姿勢が定着してしまうことになってしまう。
そのため、大胸筋周りの筋肉を伸ばすことは猫背の予防・改善、姿勢やプロポーションの改善、維持にも有効となります。
(2)大胸筋と小胸筋を伸ばすストレッチ
バランスボールの上に仰向けになり、腕を頭上に伸ばすことで大胸筋と小胸筋をストレッチしていきます。
腕を伸ばすことが最も重要で、この動作により大胸筋が伸びていきます。
というのも大胸筋は鎖骨内側および肋軟骨前面とその胸骨部分を起始として、上腕骨の大結節稜に停止している筋肉だからです。
つまり、腕の動き、正確に言うなら肩関節の動きが大胸筋を機能させているのです。
大胸筋は、起始部(鎖骨・胸骨)から停止部(烏口突起)を遠ざけていくことで伸びることになりますので、ここでのストレッチでは腕を伸ばして体から遠くに持って行くようにすることが重要になるわけです。
小胸筋は、ろっ骨を起始として、肩甲骨の烏口突起に付着しているため、腕の動作ではなく肩甲骨の動作がストレッチに関わっています。
動画内のストレッチで小胸筋が伸びているポイントは、ボールの上で体を伸ばした時です。
このとき肩甲骨が内転位に持っていかれるのですが、そのさい小胸筋が伸びてストレッチされた状態になります。
ボールの上で仰向けになるのが難しい場合は、ボールに寄りかかるようにしてもOKです。
また、頭上に伸ばすのが難しい人は、真横に伸ばすことから始めて下さい。
柔軟性の向上に伴い腕を閉じるようにして少しずつ頭上に向けて伸ばすようにしていきましょう。
(1)と同様に猫背の予防・改善などにも有効となります。
(3)2種類のストレッチで肩全体の筋肉を伸ばす方法
2種類のストレッチを組み合わせることで肩(三角筋)を前と後ろからしっかりとストレッチすることができます。
一つ目は前側のストレッチです。肩関節を水平伸展(腕を体から遠ざける動き)させることで三角筋の前部が伸ばされていきます。
手をボールの上に置き、肩を入れるようにして上体を沈めることでストレッチされます。
二つ目は後ろ側のストレッチです。肩関節を水平屈曲(腕を体に近づける動き)させることで三角筋の後部が伸ばされていきます。
ボールから離れている方の手を胸の前に通す形でボールの上に置きます。このとき、手の甲がボールに乗っている状態になります。
この状態から肩を床に近づけていくことで三角筋の後部がストレッチされます。
(4)体側(前鋸筋・外腹斜筋・大円筋)のストレッチ
前鋸筋・外腹斜筋・大円筋など体側をストレッチしていきます。
バランスボールの上で横向きになり、脚をやや広げて体が安定する体勢を取ります。
この姿勢から上の腕を頭上に伸ばし、リラックスします。腕は頭の上をキープします。
この姿勢を保つことで体側がストレッチされるのですが、軽く体をゆすることでもう一段ストレッチ感を強くすることもできます。あまり伸びてないと感じた場合は体をゆすってみるようにしましょう。
さらに柔軟性が向上し、伸びを感じにくくなったら、上の手を下の手で握り、下に引くようにするとより伸びていきます。
引っ張ってきた際に引っ張り過ぎて上の腕が顔の前にきてしまわないように注意して下さい。
このようになると逆にストレッチ感が大きく損なわれます、
上の腕は頭の上をキープした形で下に引っ張るのがポイントです。
なお、体の横がつっぱった感じがある場合もストレッチで伸ばしてあげると楽になるとこがあります。
(5)股関節周り(内転筋・恥骨筋)のストレッチ
内転筋・恥骨筋の股関節周りをストレッチしていきます。
仰向けになって膝を90度程度に曲げた形で股関節を広げてボールの上に足を乗せます。股関節の角度も90度くらいを目安に広げるようにします。
この状態をキープすることで股関節をストレッチできるのですが、よりストレッチ感を得たい場合は動画で説明しているように円を描くようにしてボールを回すともう一段ギアを入れることができます。
(6)肩・肩甲骨周り(三角筋後部・棘下筋・大円筋)のストレッチ
三角筋後部・棘下筋・大円筋など肩・肩甲骨周りをストレッチしていきます。
バランスボールに手をついて、ボールを遠くに離していくようにして上体を倒していきます。
自分が可能な範囲で押し切ったら、頭を腕の間に通すようにして体を沈めます。
沈めたら、この姿勢をキープすることでストレッチされるのですが、よりストレッチ感を得たい場合は、円を描くようにしてボールを回すとさらに伸びを感じることができます。
猫背の予防・改善にも効果的です。
(7)腰周り(脊柱起立筋・外腹斜筋・内腹斜筋)のストレッチpart1
脊柱起立筋・外腹斜筋・内腹斜筋などの腰周りストレッチしていきます。
バランスボールを脚の横に置き、逆側の足をボールの上に乗せます。
この姿勢をキープすることで腰回りがストレッチされます。
ポイントは背中を床から離さないようにすることです。
離してしまうとストレッチ感が緩んでしまうので効果を得ることができません。
腰の部分をひねってストレッチすることを意識して行うようにしましょう。
また、ボールを軽くゆすることで、よりストレッチすることができます。
キープだけではストレッチ感を得にくい場合、柔軟性が向上してきた場合は、ゆするパターンで行ってみましょう。
初心者の方はキープから始めるのが安全です。
(8)腰周り(腸腰筋・外腹斜筋・内腹斜筋)のストレッチpart2
腸腰筋・外腹斜筋・内腹斜筋などの腰周りをストレッチしていきます。
仰向けになり片足をボールの上に乗せます。
次が少しコツがいるのですが、体をボールと逆側の方にひねってうつ伏せに向きなおします。ボールの位置はそのままです。詳しくは動画で確認して下さい。
この姿勢をキープすることで腰回りをストレッチすることができます。
ポイントは上半身はできるだけ床に近づけておくようにすることです。(7)の方法は逆ですね。
(7)と同じようにストレッチ感が緩んでしまうので効果を得ることができません。
腰のひねりを意識して行うようにしてみましょう。
さらにストレッチ感を得たい場合は、ボールをゆするようにします。
そうすることで、もう一段ストレッチ感を高めることができます。
柔軟性が高まってきた場合など、もの足りない場合に行うようにしてみましょう。
初心者の方は、ゆすると腰を痛める危険がありますので、キープすることから始めて下さい。