「バランスボール・キャッチング」はバランスボールの上に座ってボールをキャッチすることで、高度なバランス力と強い体幹を作るためのトレーニング方法です。こちらのステップアップトレーニングよりも難易度、強度ともに高い種目になります。
ステップアップトレーニングの方法
バランスボール・キャッチングは、第1スレベルから第3レベルまであり、徐々に難易度を上げていくことで強い体幹やバランス力のアップを目指していきます。
実施対象は足を浮かして60秒以上保持できる人です。できない人は、バランス力や体幹強化のステップアップトレーニングから始めて下さい。
ここではバランスポールに加えてキャッチするボールを使いますので、ゴムボールかタオルを丸めてゴムで止めたものを用意して下さい。実演では、タオルを使って行っています。
【第1レベル】片方ずつボールをキャッチ
第1レベルは、片方ずつボールをキャッチするトレーニングです。片手ずつでもキャッチの時、投げ返す時に重心が崩れるので、高度なバランス力が求められます。バランスが崩れそうになった時の瞬時の傾き調整、崩れた時の立て直しを意識して行ってみましょう。
- 片側ずつ行うので、右左どちらか取る方の手を決めます。
- バランスボールに座って、足を浮かします。この姿勢がスタートポジションです。
- 姿勢を整えたら、パートナーにボールを投げてもらいます。パートナーは手を構えている位置に向かって投げるようにします。
- キャッチしたら、投げ返します。ここが最もバランス力体幹力を要する動作になります。
- 3~4を繰り返し、5回行ったら逆側に切り替えて5回行います。
- これを1~3セット行います。セット間の休憩は60秒。
このトレーニングの目的は、ボールをキャッチして、投げることではありません(第1~3レベル共通)。あえてバランスを崩す状態をキャッチする動作、投げる動作(リリース)で作り出すことで、バランス力の強化、体幹の強化を図ることが目的です。自分でバランスを崩そうとしても、どうしても楽な方に傾いてしまいがちになります。そこを他力を持ってバランスを崩すことで、自分の持っている潜在力をギリギリまで引き出すことができるようになるのです。
そのため、キャッチ&リリースに意識を傾けるのではなく、体をうまく使ってバランスを取る、体幹を固めてぶれないようにする、このことを重点的に意識してトレーニングするようにして下さい。ギリギリの線でバランスを保てるよう努力できるかがカギになります。
パートナーは、実施者がバランスを大きく崩したら、立て直るまでボールを投げるのを中断する工夫も必要になってきます。実施者の状態をよく観察して、トレーニング効果が上がるようにサーポートしていきましょう。
ボールの上でバランスを取りながらキャッチ&リリースするのは、非常に難易度が高く、はじめの内はすぐにバランスを崩して足を付いてしまうかも知れません。
でも、それで構いません。繰り返していくと体の使い方が分かってくるし、バランスの崩れを未然防ぐ神経系も高まりをみせます。足を付きながらでも最初は片側で5ずつを完遂するようにしましょう。5回が高い確率でできるようになったら、今後は10回ずつを目標にトレーニングしていきましょう。
また、利き手とは逆の手が非常にやりにくさを感じ、それゆえバランスも崩れやすくなります。
でも、そこが勝負です。崩れやすいということは、そこを乗り越えることで、さらにバランス力、体幹力が強化されていくことに他なりません。
10回ずつが無理なく行えるようになったら、第2レベルに進んでみましょう。
【第2レベル】ボールをダブルでキャッチして投げ返す
第2レベルでは、ボールを左右それぞれでキャッチして、投げ返すトレーニングです。絶妙なバランス力が要求されますので、トレーニング中は気を抜かず、取り組むようにしましょう。
- バランスボールに座って、足を浮かします。この姿勢がスタートポジションです。
- 姿勢を整えたら、パートナーに左右どちらかにボールを投げてもらいます。パートナーは手を構えている位置に向かって投げるようにします。
- キャッチしたら、そのまま逆側の方へもボールを投げてもらいキャッチします。この時点で両手にボールを持った状態になります。
- バランスを取りながら、片方ずつボールを投げ返します。
- 2~4を10回行いフィニッシュです。
- これを1~3セット行います。セット間の休憩は60秒。
はじめの内は5回×1~3セットを目標に行っても構いません。慣れてきたら10回×1~3セットに増やし、さらにレベルを高めていくようにしましょう。
第1レベルに比べて1回の動作で2回キャッチ&リリースすることになるので、バランス崩れのポイントが1度に2回訪れることになります。それだけ難易度が増すことになりますが、どれだけ崩れないようにバランスをとれるか、神経を使えるか、その上で体幹を固定できるかがポイントとなります。
どうしても我慢できなくなったら足をついても構いませんが、その場合は床に軽くつける程度に留め、バランスを整えたらすぐに足を浮かすようにしましょう。
自分を甘やかさず、できるだけギリギリのところで動作を続けることが、のちの成果に繋がってきます。自分に厳しくトレーニングしていけば、必ず大きな成果を得ることができます。集中力を高めて、諦めずに続けていきましょう。
【第3レベル】ボールをいろいろな方向でキャッチして投げ返す
第3レベルは、球技スポーツなどボールをキャッチする動作の安定性、正確性の向上にも効果的なトレーニングです。
第1と第2レベルでは、構えている手の方向へ向かってボールを投げましたが、第3レベルでは、いろいろな方向へ投げて、キャッチすることでさらに難易度を高めています。
- バランスボールに座って、足を浮かします。この姿勢がスタートポジションです。
- 姿勢を整えたら、パートナーにボールを投げてもらいます。この時、実施者があえてバランスを崩すような方向(予想できない方向)に投げるようにします。
例えば、右手で取ってもらうなら左側に投げたり、上の方に投げたり、あるいは速いスピードで投げたり。 - キャッチしたら、逆側の手に持ち替えて投げ返します。
- 2~3を5~10回行いフィニッシュです。
- これを1~3セット行います。セット間の休憩は60秒。
非常に難易度が高く、バランスを崩れやすいので、1回1回の動作を整えながらキャッチ&リリースするようにしましょう。パートナーは整ったのを確認してから投げるようにします。
このトレーニングではどちらの方向にボールが飛んでくるのか実施者は分かりません。そのため、様々な能力を要し、特に反射神経、神経系の連動も求められ、その結果キャッチングの正確さや動作の安定性を養うことができます。もちろん、主目的はバランス力・体幹の強化ではありますが、不可抗力的に素早いキャッチング動作が必要になることから、動作自体にも効果が反映されることになります。
動画のように途中で足を付いたり、壁に手をついたりしたら、すぐに所定のポジションに戻るようにします。戻ったら、目標回数まで続けるようにします。
ボールがどこに飛んでくるのか、どのくらいの速さで飛んでくるのか分からないだけあって超人的に難しいトレーニンです。しかし、これを難なくこなせるレベルまで行けば、バランス力、体幹力、神経系、反射神経、キャッチング技術は、かなりのレベルに達していることを意味します。
あなたの目的は何であれ、トレーニングを続けていくことで身体に様々な好影響をもたらすのは確かです。焦らず、そして諦めず、一歩ずつ筋トレを進めていって下さい。