握力を鍛える方法にはいろいろありますが、今回は簡単であり、安全であり、かつ効果的な3拍子揃った「ぶら下がりに」よる握力の鍛え方法をご紹介します。その他、ダンベルを使った方法もご紹介していますので、ぶら下がりと組み合わせたり、体力合わせて使い分けることができます。



握力アップトレーニング

握力が強いというのは、多くのスポーツでもそうですが非常に有効なトレーニングパフォーマンスとして知られています。握力が強い人は、どのようなトレーニング種目もやることができますし、多くの運動種目にも対応することができます。

手のひらのサイズ、指の長さ、腱の長さ、こういったものでかなり先天的に違いが出てくる部分でもありますが、どのような体の状態にあっても、自分の今の状態をスタートとして必ず強化していくことは可能です。

どのような強化の方法があるのかに関しては、よく行われているのはハンドグリップを使って繰り返し何回もやって筋持久力を高めていく方法であったり、リストカールというバーベル(またはダンベル)を下から握って、ベンチの外に出した手を屈曲させる筋トレ種目、バリエーションとしてバーベル等を上から握って屈曲させる方法などは、よく知られています。

ところが、自分の体重と比較して考えた場合に、自分の体重と同じ、もしくはそれ以上のものを手首だけでコントロールするというのは、かなり負担が大きいですし、現状そんなに筋力がない方がそこへ向けてトレーニングしていくと手首の方が壊れてしまう、腱鞘炎になってしまうとか、このようなことが考えられます。

せっかく強くなるためにトレーニングしているのに、そのことによって怪我をしてしまったのでは元も子もありません。

もっと安全で効果的なトレーニング方法はないのか、よく質問を受けますので、それについてご紹介したいと思います。

ぶら下がって握力を強化する方法

握力を鍛える上で最も重要なことは、何かにつかまってぶら下がるということです。

鉄棒があればそれに越したことはありませんが、何らかのバーにぶら下がって自分の体重を握力だけでどうやってコントロールするかということになります。成人の男性であれば、自分の体重と同じくらいの握力は持っていた方がいいでしょう。

基本的にはバーを両手で握って、脚を浮かした状態でぶら下がります。

だんだん慣れてきたら、さらに成長を促すために5本の指で掴んでいるものを指を一本ずつリリースしていって負荷を大きくしていくという方法が考えられます。

強くなってき人の場合だと、2本や1本の指でも支えることが可能になってきます。

腱が非常に強くなければできない、筋力だけではなかなか握力は強くなりませんので、時間をかけてやっていくことが必要になります。

ところが鉄棒やバーベルのシャフトは握る部分が細いわけです。通常の鉄棒やバーベルシャフト(握り部分)は直径が28mmしかありません。したがって、手のひらのサイズが小さい方でも容易につかむことができます。

もし、さらに強い握力が欲しいのであれば、握るグリップの部分を太くする方法が有効になります。

方法は、バーにリストラップやタオル等を巻いて、バーに厚みを持たせます。握りにくい状態を作って、巻いた部分を握ってぶら下がります。これによりトレーニング効果を上げることができます。

握る部分の直径が大きくなることによって指にかかる負担が力学的に大きくなってきますので、前腕の屈筋群は大きな刺激を受けて、強くならざるを得ない状況が作り出されます。

トレーニングのポイントとしては、通常の反復するような回数をカウントするのではなく、このトレーニングでは握っている時間を長くすることでトレーニングしてあげるとよいでしょう。

また、ぶら下がりの方法に関しても、肘を伸ばした状態でぶら下がる方法、それから肘を曲げた状態でぶら下がる方法、どちらもバリエーションとしてやって上げた方がよいでしょう。

グリップについては、オーバーハンドで握るスタンダードなグリップか、リバースグリップ(アンダーハンドグリップ)があります。コンビネーションのグリップ(左右を逆に握る方法・オルタネイトグリップ)で持つと握力がかなり消耗した状態でもある程度ねばることができますので、とことんまで追い込みたい場合はコンビネーションで握る方法を取り入れてもよいでしょう。

それから、片手で握るようにしてあげると、当然より大きな負荷を与えることができます。自分の体重を片手で支えて、1分間持続できるようにトレーニングしていくことを一つの目標にしておくと良いと思います。

ダンベルを握って握力を鍛える方法

ぶら下がる以外には、ダンベルを使う方法があります。重量を付け替えできる重量可変式のダンベルだと、負荷を変化させることができますので、ここでは可変式のダンベルを用います。

まずは、ダンベルのグリップ(シャフト)部分は細いので、リストラップやタオルなどを巻きつけて握る部分を太くします。

この状態で、シャフトを掴んで持ち上げます。握っているだけでもトレーニングになっていますので、握ったまま持続時間を増やしていきます。

また、ダンベルを立てて片側のプレートを両手で掴んで持ち上げる方法もあります。掴んで持ち上げたら、そのままキープするか、ロウイングのように動作を加えてもよいでしょう。

握力と申しましても、握っている部分だけで力を出すわけではなく、当然背中などの筋肉も使いますので、いろいろな動きを組み合わせて行うのは必ずプラスになります。

その他のスタンダードなトレーニング種目で言うと、デッドリフトでリストラップを使わずに順手の握りで行うことで強くしていく方法も背筋力との相関を取る上では、非常に有効になります。

他の方法としては、ダンベルが落ちないように止めている留め具部分の片側を掴んで、持ち上げる方法です。この場合は主に指が強化されますが、相当指が強くなっていないと腱を痛めたりしますので、少しずつ進めていって下さい。

握りにくくするというのが強度を上げる方法になりますので、テーピングのテープを巻きつけて、掴みにくくするなど工夫してみて下さい。

必ず、落下したときに足の上に落とさないようにポジショニングもしっかり考えて、安全に留意をしてトレーニングを進めて下さい。

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握力アップトレーニングの目標回数(時間)と頻度

  • 【回数】60秒×1~3セット
    ※続けて行うことができない場合は、10秒を6回に分けて行ってもOK
    ※セット間の休憩は60秒
  • 【頻度】1~2日おき
    ※疲労度に応じて調節する
    ※場合によってはもっと空ける

筋トレTV 出演・動画監修 森部昌広 先生
九州共立大学 経済学部准教授・経済経営学科スポーツビジネスコース主任・サッカー部部長、一般社団法人全日本コンディショニングコーチ協会代表理事、一般社団法人日本メンタルトレーナー協会理事、九州大学非常勤講師(健康・スポーツ科学)、財団法人福岡県スポーツ振興公社スポーツアドバイザー、株式会社GET専務取締役、アイ・エム・ビー株式会社取締役、森部塾塾長