上腕三頭筋(二の腕)を鍛えることで男性であれば太い腕を作ることができ、女性であればタプタプになるまえの予防、そしてタプタプになった二の腕を引き締めることができます。このような効果を得ることができるポピュラーな種目がフレンチプレスです。正確な動作をマスターして確実に目標とする体を手に入れましょう。 



フレンチプレスで腕をたくましくしよう

上腕三頭筋(二の腕)を強化するためのフレンチプレスという種目を解説します。

フレンチプレスは、座って行う方法、寝て行う方法がありますが、今回は座って行うシーテッドフレンチプレス種目になります。

頭上にバーベルを持ち上げて、そこから肘の曲げ伸ばしを繰り返す種目です。

強化する筋肉は上腕三頭筋、いわゆる二の腕になります。上腕三頭筋は上腕二頭筋(力こぶ)の逆側になる拮抗筋です。いわば肘関節を伸ばすための筋肉を強化します。

上腕三頭筋を強化するメリットとしては、二頭筋よりもボリュームが大きいので発達してくると腕が太く見えるというボディデザイン、見た目上の優位点があります。また、肘関節を伸ばすための筋肉を強化するわけですからベンチプレスのようなスタンダードな種目をウエイトアップしていく(MAXを伸ばす)ことも可能になってきます。 

それから、特にスポーツをやっている人は、例えばバレーボールで力強くアタックする、野球でボールを投げる、バットのスウィングを力強く振る、あるいはボクシングでパンチを強く打つなど、肘関節を伸展(伸ばす)させていくような動きが伴うような競技スポーツの場合、非常に有効になってきます。

まずは今回は、純粋に上腕三頭筋を強化するための種目ということでフレンチプレスをしっかりとマスターしていただければと思います。

フレンチプレスを安全に行うために

フレンチプレスのポイントとしては、肘の位置を出来るだけ頭上に近いところに持っていくことです。肘が前に残ったままにならないようにしなければいけませんので、肩関節の柔軟性がない人の場合はやりにくい種目かも知れません。

無理して肘を高くするために腰を反らしてしまうことになると、逆に腰を痛めてしまう可能性も出てきますので、そういったところは十分に注意しておかなければいけません。

最初にトレーニングする前に少し肩関節周りのストレッチをやって動きを確保しておくことも有効になります。

フレンチプレスのやり方とポイント

まずは、バーベルを掴んでバーベルを頭上に持ち上げます。持ち上げた状態から肘を曲げて再び伸ばしていきます。

実際にやっていると曲げる時にどこまで曲げればいのかという問題が出てきます。

上腕三頭筋というのが肘関節を伸ばすための筋肉なので、あまり深く曲げてしまうと上腕三頭筋は働かなくなってしまいます。

そして、完全に肘が曲がり切ったところまで下ろしてしまうと上腕三頭筋の力が抜けてしまいますので危険です。

そのため、そのような問題点を解決するために、肘関節を曲げた時に肘関節が90度になるポジションまで下ろしたら切り替えして再び肘関節を伸ばすようにします。

フレンチプレスと呼ばれているようにエクステンション(伸ばす)というよりもプレス動作、つまり“押す”動作になります。伸ばすではなく、頭上に押し上げるイメージで動作することですね。

重さよりも正確な動作を心がけよう

ジムやスポーツクラブに行きますと、トレーナーからフレンチプレスの指導を受けるとときに「肘ができるだけ広がらないように。肘を締めて行うように」といった指導をされる場合がありますが、これはすべての人に共通の方法ではありません。

肘を狭くするメリットというのは、基本的にありません。なぜ、肘を狭くすることをトレーナの方が勧めるのかというと肘を狭くした方が負担が大きくなって上腕三頭筋のきつさが増すからです。

そうだとしたら、肘が開いていたとしても重りを増やせば済むわけですから、あえて狭くする必要がないというのがまず一つの理由です。

それからもう一つは肘を狭くする動作は上腕三頭筋以外に大胸筋を使います。そのため、余計な筋肉を使ってしまうことで、きつさは増すけど刺激が分散してしまうデメリットがあります。

ですから、シンプルに今のあなた自身の筋力で持つことができ、比較的スピードをコントロールしてできる、ある程度余裕のある重さを使うことです。

筋トレは、どれだけ重いものを持ち上げることができるかを競うものではありません。もちろん、競技によってはどれだけ重いものを正確なフォームで持ち上げられるかといったものもありますが、ここでは筋力アップや筋肥大を目指して体づくりをすることが目的です。

そのため、自分の体力に合わせた重さを使い、そして正確に曲げ伸ばしをするようにする。これが結果的に効果を高めることに繋がります。

また、肩関節の柔軟性は、一般の方はあまりありませんので無理して肘を狭くすることによって肘や肩にストレスをかける必要はないわけです。

安全にできる範囲の中で繰り返しの動作をマスターしていった方が確実に強くなることを覚えておきましょう。

基本的な握り方はオーバーハンドで

もう一度フォームを見てみましょう。

スタートの位置は頭上に持ち上げたところになります。

グリップはスタンダード(オーバーハンド)で持つことをお勧めします。握り込んでしまうと力が入らない場合は、サムレスグリップ(親指を巻きつけない握り方)もありですが、基本的には普通に握ってください。

その状態から自然に下ろし、肘関節が90度のところまできたら切り替えして上げます。

上腕二頭筋と拮抗する筋肉、上腕三頭筋が強くなることによってトレーニングのバリエーションも広がってきますので、ぜひフレンチプレスを正確に反復しながら確実に強くしていただきたいと思います。

安全、正確に行うことで必ず結果がでますので、諦めずに頑張っていきましょう。

筋トレTV 出演・動画監修 森部昌広 先生
九州共立大学 経済学部准教授・経済経営学科スポーツビジネスコース主任・サッカー部部長、一般社団法人全日本コンディショニングコーチ協会代表理事、一般社団法人日本メンタルトレーナー協会理事、九州大学非常勤講師(健康・スポーツ科学)、財団法人福岡県スポーツ振興公社スポーツアドバイザー、株式会社GET専務取締役、アイ・エム・ビー株式会社取締役、森部塾塾長