ケーブルを使ったトレーニングはダンベルやバーベルを使ったトレーニングとは違ったメリットを受けることができ、効果を高めることにも繋がります。その中でもケーブルを使ったライイング・フレンチプレスは力が抜けないといった筋トレ効果を高める上で大きな特徴を有します。それでは、具体的な方法と効果を見ていきましょう。
ケーブルを使ってダンベルなどとは違う刺激を与える
上腕三頭筋を鍛えるフレンチプレスのバリエーションをご紹介します。今回はベンチの上に寝てケーブルを使って行う「ライイング・フレンチプレス」の方法です。
ケーブルを使って行う方法は、フィニッシュのポイント、つまり肘を伸ばし切ったポイントで刺激が逃げないのが最大のポイントになります。
ベンチに仰向けに寝たら、ケーブルのハンドルをオーバーハンドグリップで握ります。そこから肘を伸ばして腕を天井に向けて真っ直ぐに伸ばします。
この姿勢から肘から先の前腕部分を曲げ伸ばししていきます。動作中は、肘の位置を出来るだけ固定した状態に保ってください。
バーベルやダンベルを使うケースで寝た状態でフレンチプレスを行うとおもりが完全に上に上がった地点(肘を伸ばし切った地点)ではどうしても上腕三頭筋の刺激が弱くなってしまいます。
この場合、力が抜ける現象が起きるわけですが、そのためにバーベルやダンベルを使ったライイング・フレンチプレスを行う場合には肘の位置を頭上方向に倒した状態で動作し、フィニッシュのポジションになったときにでも刺激が逃げないようにすることで効果を上げることができます。
参考記事 : ZEバーやバーベルを使って上腕三頭筋(二の腕)を鍛える方法とポイント
この場合でも力学的な関係で上げ切ったときには幾分力が抜けてしまいます。完全に刺激を逃がさないようにすることはできないわけですね。
伸ばし切ったときに大きな刺激を加えることが、最も上腕三頭筋の筋収縮が大きくなるポイントでもあり、効果を上げる上で大切な要素となるのです。
そこでバーベルやダンベルを使ったライイング・フレンチプレスの欠点を補いう方法として活用できるのが、ケーブルを使った方法になります。
トップポジションになったときに(肘を伸ばし切ったとき)一番大きな負荷がかかり、上腕三頭筋が最も短縮して筋肉が厚みを持っている時点です。ここで大きな刺激を加えることがとても有効になるわけです。
今回のケーブルを使ったライイング・フレンチプレスは、このようなメリットを受けることができますのでジムに行かれている方はぜひ筋トレメニューに加えていただければと思います。
ハンドルをロープに替えて違った刺激を加える
同じような方法になりますが、ハンドルをロープに変更することでまた違った刺激を加えることができます。
なぜなら、ロープを使うことでおのずと握り方が変わり刺激が入る位置が移動するためです。具体的には、手のひらが向かい合った形で握ることになります。
余裕があれば、ハンドルで行う方法に加えて一緒に行ってみましょう。今回はハンドルで行う方法、次回はロープといった形で日によって変える方法も有効です。
動作方法は同じでロープを握ったら肘を伸ばしてスタートポジションを取ります。ここから肘を固定したまま肘の曲げ伸ばしを行います。
繰り返しになりますが、ダンベルやベーベルなどのフリーウエイトを使った場合は上に上げたときに力が抜けてしまいます。それがケーブルを使うことで上に上げた状態でも刺激が逃げません。
これはケーブルトレーニングの非常に大きな特徴です。
ケーブルを使うメリットをしっかり理解していただいて筋トレをする上でのバリエーションの中に入れていただければと思います。
フリーウエイトを使う日、ケーブルを使う日ということで別々の日に行うトレーニングももちろん有効ですし、同じに日にメニューの中に組み込んでたり、あるいはスーパーセットで組んでみたりと時間が許すのであればいろいろなバリエーションを試してみて下さい。
その中でどのトレーニング法が自分にとって一番上腕三頭筋・二の腕を追い込むことができるのか、この感覚を大事にしながらトレーニングを進めていただければと思います。
効果を上げていくために必要な筋トレメニュー
筋トレは一種目だけをひたすらやっていてもうまく効果を引き出すことができません。
もちろん、やみくもにやったとしても個人差はあるにしてもやった分だけ効果はあります。ただ、最適解とは言えないのです。
そこで効率的かつ効果的に、さらに言えば最大限の筋トレ効果を出すために必要な方法の一つがある程度の計画性を持ったメニューを組んで筋トレを行うことです。
具体的には、日頃一つの部位(胸、上腕二頭筋、太ももなど)に対して一種目しか行わないのであれば、2種目、3種目を組み合わせてメニューを構築することです。
初心者であれば、1種目から始めても十分です。そして、1ヶ月や2ヶ月といったスパンで見ると引き締まってきたり、筋肉が肥大していたり、硬くなっていたりと体の変化に気付くと思います。
しかし、続けていてもある一定レベルに到達するとグンと効果が見えにくくなってきます。いわゆるプラトー状態(成長の停滞)に陥ることになります。
このときもっと体を変えたい、効果を出していきたいと考えるならトレーニングに変化を付けることが求められます。
それが、1つの部位に対して2種目、3種目と種目を増やすことです。単に知っている種目ややりやすい種目をひたすらやるのではなく戦略的にメニューを組むわけですね。
こうすることでこれまでとは違った刺激がターゲットにする筋肉に伝わり、栄養補給や休息と相まって効果を最大限に高められ、効率的に体づくりを行うことができるようになります。
そして、今度はそればかり続けていたらまた停滞期が訪れます。
そこで今度は一定の期間メニューに従った筋トレを行ったら、種目を変更することが大切になります。そうすることでまた違った刺激を入れることができ成長を促すことに繋がります。
もちろん効果を引き出す方法には負荷を上げたり、スピードに変化を付けたり、それらを組み合わせたりと色々な方法がありますが、その中でもメニューを組む方法はやりやすい方法の一つとして今回お話しさせていただきました。
ぜひ、筋トレに慣れてきた方は効果を最大限引き出すために筋トレメニューを組んでみて下さい。
筋トレTV 出演・動画監修
森部昌広 先生
九州共立大学 経済学部准教授・経済経営学科スポーツビジネスコース主任・サッカー部部長、一般社団法人全日本コンディショニングコーチ協会代表理事、一般社団法人日本メンタルトレーナー協会理事、九州大学非常勤講師(健康・スポーツ科学)、財団法人福岡県スポーツ振興公社スポーツアドバイザー、株式会社GET専務取締役、アイ・エム・ビー株式会社取締役、森部塾塾長