オールアウトとは、トレーニングでセットを組む中でターゲットとしている筋肉が局所的に疲労困憊(ひろうこんぱい)し、最後の一回も挙がらなくなることを言います。筋肉を効果的に成長(筋肥大)させるためにはオールアウトが大切であるとされています。
概要と補足
オールアウトすると即発性筋痛という形でズキズキした燃えるような筋肉の痛みが一時的に生じます。(だるかったり、重い感じがする場合もあります)
ちなみに、即発性筋痛は基本的には疲労物質である水素イオンが溜まって起こるものとされています。
例えば、ベンチプレスを3セットで組んだ場合、3セット目の最後のレップ(反復回数)で完全に力が尽きて一回も挙がらなくなる状態を指します。
なお、各セットを10レップで組んだとしたら、3セット目の10レップ目を行ってまだ続けられる状態であれば、そのまま続けて完全に挙げられなくなるまで反復します。
計画された重量で各セットを行っていれば、(10レップを目標と回数としたら)続けられるとしても普通は11~12レップ程度ではないかと思います。
例に示した目標回数10レップを楽に超えるようであれば、重量の設定が正しくないと考えられますので、設定を見直す必要があるでしょう。
完全にオールアウトさせるなら下ろす動作でも余力を残さない
ただ、本当の意味でオールアウトさせるとしたら(疲労困憊と言う意味で)、下ろす動作もできないまで繰り返す必要があります。
下ろす動作は、筋肉が伸びながら力を発揮(伸張性筋活動)している状態で、挙げる動作の筋肉が縮みながら力を発揮(短縮性筋活動)するよりも大きな力を出すことができます。
>> ネガティブレップ法でさらなる筋肥大を目指そう
つまり、挙げる動作でできなくなったとしても、下ろす動作ではまだ余力が残っている状態になります。
そのため、筋肉を完璧にオールアウトさせるとしたら、下ろす動作でも疲労困憊するまで続けなければいけません。
ただ、ここまで追い込むのは、一人でトレーニングする場合はもとより、パートナーに付いてもらっていても、非常に危険であり、現実的ではありません。
挙げる動作ができなくなって、さらに追い込む場合は、チーティングを使うか(中級者以上)、フォーストレップ法でパートナー(熟練者)に最後の2~3レップを補助してもらう程度にとどめるのがよいかと思います。
現実的には挙げる動作で反復できなくなること
以上から、安全性と現実的な部分を考えると、筋トレにおけるオールアウトとは「挙げる動作において、もう一回も反復できなくなること」ということが分かると思います。
ここで大切なのは、最後に力を振り絞って挙げて下ろしたら、次はもう挙げられなくなっている状態になることです。
これが、「もう一回も反復できなくなること」あるいは最初に説明した「最後の一回も挙がらなくなること」に当たります。
どういうことかと言うと、ベンチプレスを例にすると最後に全力でバーベルを挙げ、「このまま下ろしてしまったら、もう次は挙げられな」と思ったとき、そのままバーベルを戻すのではなく、最後にブレーキを掛けるようにゆっくりと下ろして終了させることです。
つまり、最後は下ろす動作に重点を置き、下ろして終了させます。さらに、挙がらないと分かっていても、もう一回力を込めて挙げようと試みるのもいいかと思います。
これだと、一人でトレーニングするとしても本来の意味のオールアウトに近い状態に持っていくことができます。
この場合セーフティーバーは絶対的に必須であり、正しい高さに調節しておく必要があります。(もちろん、この場合だけでなく、ベンチプレスやバーベルスクワットなど危険度が高い種目は必ずセーフティーバーを設置する必要があります)
しかしながら、この場合も少なからず危険を伴いますので、初心者の方は最後に全力を振り絞って挙げて、「次は絶対に挙がらない」と思ったらそこで終了させるようにした方が安全です。下ろして終える方法は、トレーニング経験を積んだのち、安全に配慮して実践してみるのとよいでしょう。