足首の動きは歩くことはもとより、地面に足を付いている時の動きを制御するための基礎となる体の大切な機能です。機能を維持向上させてあげることは動きの滑らかさを獲得し、日常だけでなく運動やスポーツ時におけるの怪我の予防やパフォーマンスを引き上げることにも繋がります。地味な取り組みではありますが、疎かにすることなく行うようにしましょう。
足首のウォームアップ・ストレッチのポイント
運動前(筋トレ前、スポーツ前など)の準備運動について説明をしていきたいと思います。
よく一般に言われているストレッチ体操、この中にはスタティックストレッチ、バリスティックストレッチ、ダイナミックストレッチなど、色々な方法があります。
この中で筋トレ前にやるといいと言われるものから競技スポーツ前のウォームアップとしても使えるストレッチまで含めて少しずつ紹介していきます。
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まずやっていただきたいことは、運動前にはスタティックなストレッチ、つまりその場に止まって行うような静止して行うストレッチングではなく、少し体を動かしながら関節の可動域を見ていく、左右の動きにアンバランスがないかどうか、そのような事前のチェックのために行ってもらうバリスティックなストレッチングというものを紹介します。
これから紹介するストレッチは、それほど可動域が大きいわけではありませんが、自分の通常のコンディショニングが分かっているという状態であれば、普段の状態と比較することによって今日の状態がどうなのか、今から運動をやることについて問題はないのかというものを事前にチェックすることができます。
簡単な運動ですが、注意していただきたいのはお手本通りに行うということです。
特に真っ直ぐ動かす部分に注意をし、上下の動き、横の動き、あるいは円を描く、こういったところを正確にやっていただければと思います。
まず最初にやっていただきたいのは立位の状態で行う足関節のストレッチです。つま先を真っ直ぐ上げる、真っ直ぐ下ろすストレッチになります。
足首のストレッチ(1)-上下の動き
手は腰、あるいは肩の上、頭のうしろ、自分がやりやすいポジションで構いませんが、腕が自由に動くポジションではなくどこかに固定してやった方がバランスのチェックにも役に立ちます。
腕を固定したら、足を浮かしてつま先を引き上げます。出来るだけ高く引き上げたら、今度は逆につま先を伸ばして(下ろして)いきます。
伸ばした時には、脛と足の甲が一直線になるくらいまでしっかり伸ばしてあげましょう。逆に引き上げた時には直立姿勢で立っている時よりもさらに足関節が背屈させ、足の甲側にしっかりと持ち上がってくる感じで動かすようにします。
自分の可動域の限界までしっかりストレッチさせてあげることを目標にして行っていきましょう。
動作中は出来るだけ両膝は伸ばしておきます。
速い動きではありませんが、正確に可動域をいっぱいに使って行って下さい。
これが足首の第一のストレッチです。
足首のストレッチ(2)-横の動き
次に体重移動を伴うような競技では特に重要な足を横に動かす動作です。
先ほどと同じように足を浮かした状態からスタートします。
今度は足を横に動かしていきます。払うような動きになります。
動かしたいのは、足関節の部分なので股関節から動かないように注意して下さい。太ももは出来るだけ固定した状態でつま先の先端だけが左右に動いていきます。
この時には股関節の外転運動、あるいは内転運動は入りませんので、太ももの位置は固定したままになります。
出来るだけ可動域をいっぱいに使って行うのポイントです。
足首の角度は90度近位で固定した状態で足関節だけを動かして行っていきます。出来るだけ横に払ったときの可動域が大きくなるように心がけて下さい。
もう一度言いますが、足関節のストレッチなので股関節から動かさないことを十分に注意して下さい。
足首のストレッチ(3)-回す動き
今度はつま先の先端で大きな円を描く動きを行っていきます。内側に回す動き、外側に回す動きになります。
どちらの方向から行っても構いませんが、例えば内側に回す動きを行ったら、外側に回す動きも行ってあげるようにします。
足首の動きが悪い場合には、円を描くつもりでやっていても三角形のように動いたり、いびつな形の円になってしまうことが非常に多くあります。
その場合、決して足首の状態、コンディションはいいとは言えませんので、ゆっくりした動きで構いませんから正確に円を描く、この部分を念頭に置いて動きを作っていきましょう。
つま先の先端でできる限り大きく円を描くように動かすことが大切になります。一定の動きを繰り返したら反対の動きも行ってみましょう。
滑らかな円を描くことができない場合には、どこかだけが途中だけが少しキュっキュっと早く動く形になってしまったりすることもよくあります。
過去に捻挫の経験がある、あるいは今スポーツをやっていて少し状態がよくない、こういうケースでは滑らかな円を描くことが非常に難しくなってきますので、こういうところを一つのチェックポイントとして自分のコンディション作りの役に立てていただければと思います。
足首のストレッチ(4)-素早くタップする動き
ここまで行った動きは比較的ゆっくりとして動きでした。室内で行う様な筋トレであればこのくらいのことができていれば十分です。
しかし、インドアでもアウトドアでも競技スポーツをやる場合、特に球技や格闘技などのスポーツをやる場合にはもっと激しくダイナミックな切り替えしの動作が必要になってきます。ゆっくりした動きだけでは十分なウォームアップができたということにはならないんですね。
そのような場合は、足首の動きを出来るだけ早く動かしながら、床面を足の指から拇指球までを使って床をタップする動きが有効なストレッチとなります。
動作している時には決して股関節から振り下ろすような動きをしてはいけません。足首のみの動きだけでしっかりとストレッチしていくようにしましょう。
イメージとしては、かかとを浮かした状態でドラムをキックするような動きになります。
足首のストレッチ(5)-ジャンプ動作
素早いタップを行ったら今度は縄跳びのような動きで、足関節の部分だけを使ってジャンプ動作に繋いでいきます。アンクルフリップという種目になります。
体幹をしっかりと固定して腹筋が緩まないように。そして、膝が緩まないように注意して下さい。
全身のバネで飛ぶというよりも足関節のバネ、特にアキレス腱の強さでジャンプを作っていきます。
軽く跳躍したのちに、出来るだけ全身を固くした状態、足首を90度近位で固定した状態で指先から着地することによってアキレス腱のバネを使います。それにより自分の体をリズミカルに跳躍させていきます。
こういった動作を繰り返すことによって敏速な動きに対応できるようなウォームアップが少しずつ進んでいきますので、ぜひこのような動きを取り入れていただければと思います。
反復する回数は、最初は10回くらい。まずは回数を固定したところから始めていって最高では1分間連続して動きを作っていくようにします。
こういったことで自身の足首のウォームアッププログラムに加えていただければと思います。
筋トレTV 出演・動画監修
森部昌広 先生
九州共立大学 経済学部准教授・経済経営学科スポーツビジネスコース主任・サッカー部部長、一般社団法人全日本コンディショニングコーチ協会代表理事、一般社団法人日本メンタルトレーナー協会理事、九州大学非常勤講師(健康・スポーツ科学)、財団法人福岡県スポーツ振興公社スポーツアドバイザー、株式会社GET専務取締役、アイ・エム・ビー株式会社取締役、森部塾塾長