腹筋を鍛える種目「クランチ」には様々なバリエーションがあります。自分の体の位置関係や重心を理解して行うことで、自重トレーニングでありながら強度下げたり、上げたり、自在にコントロールすることができます。ここでは強度・負荷を上げる方法として下腹部にも強烈な刺激を加えることができるバリエーションをご紹介したいと思います。 



さらに強度を上げたクランチの方法

腹筋群の強化ができてきて、だんだんトレーニングにも慣れてきた場合、さらにそこに柔軟性までついてきた方の場合には、次のようなバリエーションを与えることができます。

腹筋の段階的トレーニング法でご紹介したクランチのやり方ですと膝を曲げて行う方法、脚を浮かして行う方法などを説明しました。

今回はここからさらに変化を加えて、脚を浮かして膝を伸ばして行う方法になります。

ここでは、床に対して45度のポジション、90度のポジション、床からほんの少し浮かしたポジション、この3つのバリエーションをご紹介します。

脚を90度に上げて行うクランチ

この中でも一番楽にできるのは、柔軟性があればの話になりますが、太ももが床に対して垂直の状態(90度のポジション)です。

この状態ですと、寝転がって何もしていない状態でもお腹の下部、下腹部の部分は収縮した状態になっています。

ここに上半身を少し丸め筋肉を収縮させることでお腹は非常に硬くなった状態になります。

ここをスタートのポジションとして、両手を上に伸ばし、指先で足の甲を触るつもりで上体を上げていきます。




このように行うことによって下腹部、それからみぞおち付近の上部を同時収縮させることによって腹筋群にかかるトレーニングの強度を高めることができます。

膝を真っ直ぐに伸ばすことによって太ももの引き締めにも役に立ちますので、特に女性の方ですとか、脚を細くしたいような方の場合には非常に有効かと思います。

どうしても膝を真っ直ぐに伸ばすことができないような場合は、膝は曲がっても構いません。

ただし、その時に膝の位置があまり体幹に近くなってきますと、すでに太ももが90度よりも上の方に倒れてきて可動域が十分に作ることができませんし、お腹が緩みがちになってしまいますので、股関節は90度のところでキープするということを一つの目標にして下さい。

脚を45度に上げて行うクランチ

90度の状態から少し倒して45度のところまで持っていくと、次の段階(ステップ)になります。

中途半端な状態ではありますが、足が床に近づけば近づくほど運動の強度が上がってきますので体幹部、お腹周りは非常にきつい状態を作ることができます。

90度に上げた状態から下ろしていきながら45度付近で止めます。この状態で手は太ももの上に置き、ここから上半身を持ち上げていきます。

動作する時に勢いを付けてしまうと、振り子のようにブレてしまってフォームが安定しなくなりますので、動作はスピードをコントロールして行うようにして下さい。このようにすることで非常にお腹周りのトレーニングをすることができます。

また、脚を宙に浮かして固定するときにお腹はずっと緊張した状態になっていますので、腰は自然に丸くなって床に骨がくっついたような状態を作ることができます。そのため、腰の負担が少なく安全なトレーニングになります。

硬いフローリングの上ですと骨が当たって痛い方もいらっしゃるかも知れませんので、その時にはクッション性のあるものを腰の下に敷いて行うと安全にトレーニングすることができます。このような環境面の配慮も工夫していただければと思います。

脚を床とほぼ平行な状態まで下ろして行うクランチ

さらに腹筋が強くなってきたら今度は脚の位置を重力対して90度のポジション、つまり床とほぼ平行な状態まで下ろします。

かかとを床から少し浮かしておくことによって体幹は全く力を抜くことができないと言う非常にきつい状態を作ることができます。

これも90度に上げたところから下ろしていき、一番床に近づいたところで止めてキープします。この時に腰に隙間が空いてはいけません。

そこから太ももに手を置き、上半身を巻き上げるようにして動作します。

床に近づけば近づくほど、体幹部分の緊張は高くなりますので、柔軟性もしっかりと養っていきながら最終的には完全に床とフラットな状態に近づけることを一つの目標として下さい。

一番強度を強くしようと思えば、椅子やベンチなどでお尻の部分から腰の部分だけを乗せて、脚と上半身は宙に浮いた状態にし、自分の体を完全に床と平行な状態にする方法です。

この方法では平行になった時が一番体幹部分の強さが高まっている状態になりますので、ぜひ自分の体の位置関係というものを理解し、少しずつ段階を追って進めることで相当に強い体幹を作っていただければと思います。頑張ってください。

回数について

まずは、正確なフォームを意識して10回を目安に反復するようにします。慣れてきて、楽にできるようになってきたら回数は固定せずに自分ができるところまで反復します、つまり、限界まで行うことになります。

次の段階としては、セット数を増やします。最初は1セットから始めますが、その内疲れも出にくくなりもの足りなくなります。

そのタイミングでセット数を2セットに増やし、さらに物足りなくなってきたら3セットに増やします。いずれのセットも全力で行い限界まで反復するようにして下さい。もう無理と思ったところからあと1~2回頑張ってみるくらいの気持ちで行うのが、のちの効果に大きく影響してきます。

なお、セット間には60秒程度の休憩を入れるようにします。

頻度について

慣れないうちは1日置きを目安として、慣れてきたら毎日行うようにます。ただし、体調がすぐれない場合や疲労感が強い場合は、その日は休んで様子を見るようにしましょう。

筋トレは、トレーニング、栄養、休養の3つが、高度にバランスが取れることで効果を最大化することができます。

休むことは決して悪いことではありませんので、体の状況を見て適度に休みを入れることは非常に大切なことでもあります。休みすぎはいけませんが、トレーニング、栄養、休養のバランスを見ながら筋トレの効果を高めていきましょう。

筋トレTV 出演・動画監修 森部昌広 先生
九州共立大学 経済学部准教授・経済経営学科スポーツビジネスコース主任・サッカー部部長、一般社団法人全日本コンディショニングコーチ協会代表理事、一般社団法人日本メンタルトレーナー協会理事、九州大学非常勤講師(健康・スポーツ科学)、財団法人福岡県スポーツ振興公社スポーツアドバイザー、株式会社GET専務取締役、アイ・エム・ビー株式会社取締役、森部塾塾長