950万人いるとされている糖尿病。予備軍を含めると2050万人いるとされています。糖尿病は様々な合併症を招くため、多くの人が深刻な悩みを抱えている現状があります。そこで今回は、糖尿病を筋トレで未然に防ぐことができないのか、改善できないか?運動プログラムの観点から解決策を考察したいと思います。
糖尿病の現状
糖尿病については、現在950万人の人がかかっていると言われています。予備軍まで含めると2050万人。予備軍に関しては、前回測定した時よりも少なくなっていますが、いずれにしてもものすごい数の人達が糖尿病、もしくはその予備軍として存在しているということになります。
糖尿病の何が問題になるのかと言うと、非常に合併症が多いということです。
失明の原因の第2位となるのが、糖尿病由来の目の病気であったり、人工透析が必要になる原因の第1位が糖尿病が原因でなった腎臓病、さらには脳卒中の危険性・リスクが、糖尿病でない人に比べて、糖尿病の人は3倍に上ると言うことです。
できるだけ糖尿病にならないようにする。状態を改善するためには何が必要なのかということについては、そもそもなぜ糖尿病になるのかいう原因を理解しておく必要があります。
一般的に理解されているのは、運動不足や摂取過多です。であれば、運動を含めて摂り過ぎに注意すれば十分に予防になるわけですが、注意しておかなければいけないことがあります。
すでに糖尿病であると診断が出た人、あるいは健康診断などを受けられたときに、糖尿病のリスクが考えられるような人の場合は、必ず専門の医療機関で検査を受けていただいてドクターの診察をいただいてその中に運動プログラムを組み入れていいのかどうか、そしてやるのであればどのくらいまでの運動であれば可能なのかと言うことを必ず確認をしていただく必要があります。
決して、安易に取り組んで事故が起きないように注意をして下さい。
そのことをしっかりと踏まえた上で、運動をやってもいいと言う方についての内容をお話しします。
摂取したものを消費する体づくりを
お腹が減ってきたら誰でも食事をしますが、何を摂ったかによって、その後の血糖値の上り具合が変わってきます。
分かりやすく言うと、食べ物の中に糖分が含まれていなければ血糖値はそんなに上がらないわけなんですね。ゼロと言うことではありませんが、何を食べても血糖値は少しずつ上がってくるわけなんですが、炭水化物や糖質をたくさん含んだ食事をした場合と少ない食事の場合とでは、その後の血糖値の上り具合は当然異なります。
従いまして、分かりやすく説明をしますと糖分、炭水化物を摂らなければ血糖値は上がらないわけですから、糖尿病にもならないということが言えます。
ところが、我々の平均的な食生活を考えますと、必ずその中に糖分が含まれていますので、すべてを取り除くということは、よほど厳しくダイエットを行わないと難しいわけです。
であるならば、摂取したものを体の中にいつまでも残しておかないようにするために消費をするということがここで考えとして出てきます。
筋トレが糖尿病の予防・改善にオススメ
では、効率よく糖分を消費している状態とは、どういう状態なのかというと、ものすごく頭を使って考えごとをしているような場合、日中仕事で一生懸命働いているとか、勉強しているとか、何かに取り組んでいるというのは、非常に糖分を消費することに関しては有効に働きます。
それからスポーツの活動をやっている場合ですね。しかも、ややきつめの運動でちょっと息切れをしてしまうような運動をしている最中にはエネルギー源として糖質が効率よく使われています。
このことから考えると、仕事を一生懸命頑張る、あるいは生活の中に一定の強度の運動を取り入れることが非常に有効になってきます。
その中でも特に簡単にできるのでオススメしたいのが、筋トレです。
自宅でできる筋トレで十分効果的
ジムに通って筋トレをするというのは、専門の指導者もいますので安心、安全に十分にトレーニングできると思います。ただ、近くに施設がない、行く時間がない、やるとしても家でしかできないと、そのような状況の方の場合でも自宅にいて簡単にできるのが筋力トレーニングなんですね。
これまでに経験した運動の中でいきますと、体育の授業の中で行った腕立て伏せ、腹筋運動、あるいは膝の曲げ伸ばしするスクワット運動、こういったものというのは、ポピュラーな筋力トレーニングの代表種目であります。
この筋トレをある程度の強度で行う。これは回数を何回すればいいかなど、定量的には決められませんが、実際にやってみてもうちょっとできるかも知れないというギリギリまでやってみる。そのレベルまで行くと確実に、その筋トレの最中には糖分しかエネルギー源として使われていません。
従いまして、ついつい食べ過ぎてしまうような傾向にある人、甘いものが好きな人、どうしても食事の趣向を改善できないような方の場合は、食事からアプローチするとかなりストレスを抱えてしまいますので、食事は最初の段階ではあまり扱わないで、まずは運動プログラムを追加することから始めると無理がないのかなと思います。
まずは1分のトレーニングから始めよう
その場合でもあまり最初からたくさんの運動をやるということになると心理的な不安や肉体的な負担が大きくなってしまいますので、簡単にできることからで結構です。
最初は1分を目標(1分間×1セット)にできるような運動のバリエーションをたくさん増やしてみて下さい。腕立て伏せ、腹筋運動、スクワット、こういった種目を1分間できるかをまずやってみます。
もし、1分間ができた場合は、1分間は変えずにその中で反復できる回数を少しずつ増やしていきます。そして、1分間が楽にでき、反復回数も増やすことができるようになった場合は、かなり体力が上がっていますので、その段階まできたらセット数を1セットから2セット、3セットと複数セットにして少しずつトレーニングのボリュームを増やしてみて下さい。
最大でもご自宅でやるのであれば、30分を越える必要はないと思います。それ以下の時間で十分運動の効果が現れますので、ややきつい負担を感じられる運動をある程度のボリューム取り組むような努力をして下さい。それにより糖尿病の予防に繋がっていきますし、ぜひ運動を取り込んで併用していきながら必要に応じて検査機関で検査を受けて運動の効果というものもしっかり把握していかれると、非常にご自身のコンディショニングの上で役に立つでしょう。
筋トレTV 出演・動画監修
森部昌広 先生
九州共立大学 経済学部准教授・経済経営学科スポーツビジネスコース主任・サッカー部部長、一般社団法人全日本コンディショニングコーチ協会代表理事、一般社団法人日本メンタルトレーナー協会理事、九州大学非常勤講師(健康・スポーツ科学)、財団法人福岡県スポーツ振興公社スポーツアドバイザー、株式会社GET専務取締役、アイ・エム・ビー株式会社取締役、森部塾塾長