ドロップセット法は、設定したウエイトで反復できなくなったらウエイトを減らし、休憩を挟まずに続けて反復する筋トレテクニックです。ウエイトを2~3回減らして1セットとなります。限界を超えて筋肉に負荷を与えるため、成長ホルモンの分泌量が増し、筋肥大に有効とされています。
概要と補足
ドロップセット法は、マルチパウンデッド法(マルチパウンデッジ法)、ディセンディングセット法、ウェイト減少法とも呼ばれ(※1)、反復できなくなったら重量を軽くして(減らして)休憩を挟まず(※2)にさらに限界まで反復する方法です。
(※1 団体や提唱者によってやや方法に違いがある場合もあります)
(※2 実際にはウエイトを変更したり、付け替えたり、持ち替えたりする時間があるため、わずかに休憩が入ることになります)
1~2回ウエイトを減らして1セットととし、これを2~3セット行います。(慣れてないうちや体力によっては1セットからはじめる)
ドロップセット後のセット間休憩は2~3分程度と長めにとります。
セットの組み方は、3セットを例にすると、1セット目は通常のノーマルセットを行い、2セット目と3セット目、あるいは3セット目のみドロップセットを取り入れたり、1セット目からドロップセットを取り入れたりとセット内の組み方は様々です。
このあたりは、経験と体力に応じて決めていくことになりますが、まずは最終セットのみ取り入れることから始めてみるのがベストです。
なお、高頻繁でドロップセットを用いると回復が間に合わずオーバートレーニングに陥る場合がありますので、回復具合を考慮してトレーニングプログラムを計画するようにしましょう。
ドロップセット法の方法
ドロップセット法は、おおよそ目標のレップ範囲で限界になる割合でウエイト減らしていきます。
例えば、目標を8~12レップに設定した場合、2回目以降も8~12レップで限界になるように調節したウエイト(減らす)に持ち替えてセットを続けます。3回目も同様です。
なお、休憩なしで続けるため、休憩ありのウエイト・リダクション(※)法に比べて減らすウエイトの割合は大きくなります。
(※)1セットごとにウエイトを減らしながら、目標反復回数まで反復する方法。
一般的には10~30%程度ウエイトを減らすとされていますが、はじめの内は調節が難しいかも知れません。
まずは30%前後減らして、減らし過ぎだと思ったら次は20%前後にするなど、試行錯誤しながら経験値を上げていくようにしてみましょう。
例えば、ダンベルカールで1回目を片手16kgで行ったとしたら、2回目は10kgか12kgで行うなどします。
ドロップセット法は強度が高いため、ウエイトを減らす回数は1~2回程度までに留めるようにした方がよいでしょう。
特に初心者の方は、怪我やオーバートレーニングも陥る可能性もありますので、一定の筋トレ経験を積んだのち、必要に応じて取り入れるようにして下さい。
テクニックよりもまずは正しいフォームを身に付けることが、初心者の方にとってはもっとも優先される要素であります。
ウエイトの変更、持ち替えについて
ウエイトの変更や持ち替えは、パートナーに行ってもらう方法と一人で行う方法があります。
パートナーにウエイトを変更してもらう方法
パートナーに行ってもらう方法は、多くの種目でもっとも効率的、効果的にドロップセットを実施できます。
例えば、ベンチプレスの場合、1回目が終わったらすぐにパートナーにプレートを外してもらい、そのまま2回目に移ることができます。(この場合、バーの両端に1人ずつ、計2人に付いてもらうのがベスト)
一人で行う場合は、一度立ち上がって両端のプレートを外し、ポジションを取って2回目に移るため、実質的に休憩を挟んでしまうことになり、パートナーに手伝ってもらう方法に比べてドロップセットの効果を十分に得ることができません。
その点、パートナーに行ってもらう方法は、いろいろな種目に適用でき、ドロップセットの効果をもっとも享受できる方法であるといえます。
とは言え、ボディビルダーや友人と一緒にトレーニングしていない限り、なかなかパートナーに付いてもらってトレーニングできる環境にないと思います。
そのため、ドロップセットを取り入れる場合、多くは一人でウエイトの持ち替えや変更をする必要があると言えます。
一人でウエイトを変更する方法
上記で説明したように、ベンチプレスはウエイト変更に時間を取られ、実質的に休憩をとる形になり、ドロップセットの効果を十分に得られなくなってしまいます。
そこで、一人で行う場合は種目の選定を工夫することで、ドロップセットを取り入れるようにします。
例えば、ベンチプレスの代わりにダンベルベンチプレスなどウエイトを切り替えられやすい種目でドロップセットを行うようにします。
ダンベルベンチプレスの場合は、3種類のウエイトをあらかじめベンチの前に置いておくことで対応できます。
例えば、20kg、14kg、10kgを2本ずつ用意しておき、1回目20kgで反復できなくなったら、すぐに14kgに持ち替えて反復する流れになります。
この方法は、ダンベル種目であれば同様に行うことができ、ダンベルカールの場合は、すぐに持ち替えられるように、近くにダンベルを用意して置きます。
ただし、ジムで行う場合、多くのジムでは各重量1セットずつしかダンベルが用意されていません。
この場合、ウエイト別に3種類のダンベルを占有してしまうことになります。
そのため、混み具合など周りの状況を考えて実施するのがマナーとなります。
できれば同じ重さのダンベルが数セット用意されているようなジムで行うのがいいですが、このようなジムは限られてきますので、通常のジムでは工夫が必要になってきます。
このデメリットを解決する方法としてはマシンでドロップセット法を行うことです。
多少マシンは占有してしまいますが、ピンの抜き差しですぐにウェイトを減らすことができるし、常識的な範囲の使用時間であれば迷惑をかけることもあまりありません。
マシンでできる種目はマシンで行うなど筋トレメニューを工夫することは、紳士的なトレーニーとしてあるべき姿なのかも知れません。
ドロップセット法の効果
- 成長ホルモンの分泌量増加
- 筋肥大
- 筋肉のカット向上(彫を深められる)
- 局所的筋持久力の向上
- 弱点部位の強化
などに効果があります。
弱点部位の強化にも通じますが、成長が滞っている筋肉に新たな刺激を入れる場合にも活用できます。
また、ピリオダイゼーションを考慮したバリエーションのひとつとして刺激に変化を持たせる上で取り入れることもできます。
ドロップセット法の流れ
一例として、ダンベルベンチプレスでドロップセットを取り入れた場合の流れを解説します。
【前提】
ダンベルベンチプレス×3セット×10回
┣ その内、1セット目はノーマルセットとし、2セット目と3セット目に2回ドロップセットを入れる
┗ ノーマルセットを含め、全てのセットで10回前後が限界になるようにウエイトを調節する
【流れ】
——————————
★ 1セット目・・・ノーマルセット
↓(休憩 60秒~90秒)
★ 2セット目・・・ドロップセット
1回目限界まで反復
↓すぐにダンベルを持ち替える(ウエイトダウン1回目)
2回目限界まで反復
↓すぐにダンベルを持ち替える(ウエイトダウン2回目)
3回目限界まで反復
2セット目終了
↓(休憩 2~3分)
★ 3セット目・・・ドロップセット
1回目限界まで反復
↓すぐにダンベルを持ち替える(ウエイトダウン1回目)
2回目限界まで反復
↓すぐにダンベルを持ち替える(ウエイトダウン2回目)
3回目限界まで反復
3セット目終了
——————————
このような流れになります。
3セット目のみにドロップセットを入れたり、5セットで組んだ場合は、最後の2セットでドロップセットを入れたり、取り入れ方には様々あります。
経験を重ね、試行錯誤することで自分に最適な方法が見つけるようにしましょう。