お尻の引き締め、スタイルアップに効果的な「ヒップリフト」の方法を実演・解説します。お尻に締りがない、お尻のたるみが気になる、垂れてきたお尻を引き上げてヒップアップしたい、そのような方におすすめのトレーニングです。
ヒップリフトの正しいやり方とポイント
ヒップアップに効果的なヒップリフト。お尻を持ち上げるということでヒップレイズと呼ばれることもあります。
まずは、床の上に仰向けに寝て両膝を立てます。腰痛のあるような方の場合は、膝をくっつけるよりは開いておいた方が腰の負担は減ります。
この姿勢から、両肩を床に付けたままお尻を持ち上げていきます。お尻が浮いた時点ですでに体にはトレーニング効果が現れますが、より強度を上げるためにはお尻の高さをできるだけ高くして、膝から肩まで体幹が真っ直ぐになるポジションに持って行くようにしましょう。
引き上げたポジションで臀筋が最大収縮している状態になります。このまま姿勢をキープ(静止)することで筋肉に負荷を掛けていく方法もありますし、下ろして上げる動作を反復する方法もあります
反復する方法では、下ろした時に完全に床にお尻が付いてしまうと筋力が抜けてしまいますので、できればギリギリまで下ろすけれども床に完全に接地させないようにします。このようにすることで脱力する局面を作ることがなくなりますので、しっかりと筋肉に刺激を加えることができ筋トレ効果を高めることができます。
また、ヒップリフトはふくらはぎのトレーニングを同時に行うことも可能です。その場合は、動作中はつま先立ちにして、かかとを上げたまま動作を行います。
腰を痛くしないためには、お腹をへこまして行うのがポイントになります。単にお尻を持ち上げるのではなく、お腹をグッとへこませてウエストを絞った状態でトレーニングしてみましょう。
正しい動作で行っていれば、トップの位置(上げ切ったポジション)に持ち上げた時にお尻、そして太もものうしろが固くなっているのが分かるはずです。
筋肉をトレーニングするときには、ある程度緩めたところからできるだけ固く収縮させたところ、つまりピークの位置を作ってやることがとても重要になります。
最初は止める(キープ・静止)ところからはじめて、止めることが楽にできるようになったら反復させる。さらに強度を上げる場合は、反復の際にトップポジションで少し静止させるようにします。
こういった形で変化を付けながら少しずつバリエーションを増やしてみて下さい。
ヒップリフトの反復形態と回数
一般的には10回など回数を指定して行うのが常ですが、ここでは継続時間、反復時間によって負荷を加えることでトレーニングしていきます。
自重トレーニングによる反復形態は、強度別に次の3つの方法があります。
- 静止する方法
- 反復する方法
- 反復中にトップポジションで少し静止する方法
の3つで、1番から順に強度が高くなります。
静止する方法は、最も大臀筋が収縮しているポジション、つまりトップポジションで所定の時間静止し、アイソメトリック収縮させることで大殿筋からハムストリングスを強化します。動作が伴わないため、筋トレ初心者が取り組みやすい方法です。
反復する方法は、一般的に行われているやり方で、「上げて下ろす」動作を繰り返す方法です。短縮性収縮と伸張性収縮を繰り返すことで、筋肉に対して動的に刺激を加えるオーソドックスな方法になります。体力的な問題で動作中にフォームの崩れが生じないのであれば、こちらも初心者から取り入れることが可能です。
反復中にトップポジションで少し静止する方法は、お尻を上げて最大収縮したところで、そのままの姿勢を数秒間キープする方法です。これは、反復する方法と静止する方法を組み合わせた方法であり、強度を高めることができます。そのため、楽にできるようになってきた時の打開策として用いることができ、それにより効果の停滞を防ぎ、引き続き効果を高めていくことが可能になります。
これらを所定の時間行います。当初の目標は60秒間。60秒間続けてできなければ、時間を分割し、合計して60秒間になるようにします。
具体的には、限界に達したら一旦わずかな休憩を挟み(数秒)、さらに限界まで行う方式です。この場合、2回以上トレーニングすることになりますが、その合計時間が60秒になるまで繰り返すことで、十分なトレーニングレベルを満たすようにします。
例えば、30秒で限界になったとしたら、ここで少し休憩を挟みます。次に休憩後の2回目が20秒で限界に達したとすると再び休憩を入れます。ここまで合計が50秒なので、最後は10秒間頑張って行う形になります。もし、最後の10秒が疲労によってできなかったとしたら、ここでも分割して行います。(5秒ずつを2回など)
トレーニング当初であれば上記の方法でもいいですが、慣れてきたら60秒の枠にとらわれずに限界まで行うとより効果を引き出すことができます。(60秒続けてできるのであれば、60秒を超えて限界まで行う)
上記例をもとにすると、最後の10秒を楽に終えることができるようだったら、10秒で終わらずにそのままできるところまでトレーニング時間を引き延ばすようにします。
こうすることで、あなたの肉体が許す限りの負荷を用いて十分な刺激を加えることができます。1回1回の延長時間の差は少しかも知れませんが、日々トレーニングを繰り返していく中でその差は大きなものとなっていきます。例えば、何らかの変化が認知できるまで2ヶ月かかるところを、1ヶ月半などで感じることもできます。
ちょっとしたところで、もうひと踏ん張り頑張ってみる。この積み重ねは、あなたの体に必ず反映していくことになります。これが目標のスタイルや目標とする人に少しでも早く到達できる秘訣であります。
これまであなたが限界だと思っていたところから、ほんの少し頑張ってみて下さい。きっと良い結果が返ってくるはずです。
さらに強度を高めるには
ここでは自分の体一つで行う自重トレーニングについて負荷の調節を説明しましたが、おもりを用いることでさらに強度を高めることも可能です。
例えば、腰のあたりに本やペットボトル、ダンベルなどのおもりを置いて行います。お尻を上げていくと体が斜めになって、おもりが落ちていきますので動作中は手で支えるようにします。
このようにおもりを使うことで、乗せたおもりの分だけ強度が高くなり、さらに効果を高めることができます。
ヒップリフトの効果
ヒップリフトで刺激されるメインの筋肉は大臀筋ですが、動作に連動してハムストリングスも刺激されます。
このことから、お尻の引き締め効果が期待でき、その結果お尻の垂れを防いだり、垂れてきたお尻を引き上げるヒップアップ効果を得ることができます。もちろん、大臀筋からハムストリングスを強化した結果、お尻の形を良くしたり、お尻と太ももの強化をクッキリさせる効果を期待できるでしょう。
ハムストリングスは太ももの裏側で、ヒップリフトにより太もものたるみを防いだり、たるんだ太もも引き締める効果が期待できるでしょう
また、通常の動作方法に少し工夫を加えることで、ふくらはぎの引き締めにも有効なトレーニングとなります。
方法は簡単です。つま先立でかかとを上げたまま動作するだけです。
ただ、簡単であるとは言え、動員する筋群が増えますので、それに応じて強度が高まります。疲労度も増えるでしょう。そのため、ヒップリフトでふくらはぎも同時に引き締める場合でも、まずは足の裏を床に付けたまま行う通常の方法でトレーニングし、慣れてきてからつま先立ちで行う方法に移行するようにしましょう。そすることで挫折しにくくなり、筋トレを続けていくうちに様々な効果が目に見えてくるでしょう。
目標回数(時間)と頻度
- 【回数】60秒×1~3セット
※続けて行うことができない場合は、10秒を6回に分けて行ってもOK
※セット間の休憩は60秒 - 【頻度】1~2日おき
※フォームの習得期間や負荷が軽いうちは、毎日行ってもOK
※疲労度に応じて調節する
※場合によってはもっと空ける
筋トレTV 出演・動画監修
森部昌広 先生
九州共立大学 経済学部准教授・経済経営学科スポーツビジネスコース主任・サッカー部部長、一般社団法人全日本コンディショニングコーチ協会代表理事、一般社団法人日本メンタルトレーナー協会理事、九州大学非常勤講師(健康・スポーツ科学)、財団法人福岡県スポーツ振興公社スポーツアドバイザー、株式会社GET専務取締役、アイ・エム・ビー株式会社取締役、森部塾塾長