股関節の筋力や滑らかさ、柔軟性を維持改善することは、日常の動作やスポーツのパフォーマンスアップにおいて非常に大切な機能になります。継続して行っていくことで股関節周りのスタイルにも影響してきます。正確に行うことに第一の目標にして取り組んでいただければと思います。



股関節周辺のウォームアップ・ストレッチのポイント

立位姿勢で行う股関節周辺の柔軟性を高めるトレーニング・ストレッチ、それから動きの確認をするための体操を説明したいと思います。

股関節周辺のストレッチでは、片足で立った状態でできるだけ膝を高く引き上げて、そこから動きを作っていきます。

この動きも足首編で説明したバリスティックな方法、少しバネを使ったような動きで行っていくことになります。

片足で立つこと(基本姿勢)は足首編のウォームアップと同じ姿勢から開始します。手は腰に当てる、もしくは頭のうしろや肩の上に置いて固定をして下さい。

できれば室内で行うときには、裸足で行った方が指が使いやすい状態になりますので、特に足指のバランス、それから強さを引き出すためには非常に有効になりますから覚えておいてください。

関連動画 :ダイナミックストレッチ

股関節周辺のストレッチ(1)-足を引き上げる動き

片足を真っ直ぐ引き上げ、一番高く上げたところがスタートポジションになります。そこからバネを使ってさらに上に引き上げます。最初の引き上げた位置よりも高いところで動かします。



動作の範囲を大きくしてしまうと、すごくダイナミックに動いているので一見よさそうに思われがちですが、実は筋力的に考えると可動域が大きくなるというのは緩んでいる時間が長くなっているだけなのであまり効率よい筋トレにはなりません。

ウォームアップとは言え、こうしたところをきっちり行うことによって出来るだけ短期間に効率よくパフォーマンスを改善することも可能になってきます。

出来るだけ自分の筋収縮をしっかりと引き起こした上でさらにそこから弾性エネルギー、バネの力を使って動作を作っていく、そしてよりダイナミックな動きに繋げられるような強さというものを身に着けていきましょう。

出来るだけ高く引き上げたところから、バネを使って小刻みに上下させる動き。これを繰り返していきます。

可動域は5cmから大きくても10cmくらいだと思いますが、この短い範囲の中で出来るだけ強い筋収縮を引き出すというのがこのトレーニングでの目的ということになります。

股関節周辺のストレッチ(2)-足を開く動き

次に上下に動かす方法をやったあとは、引き上げた脚を外側に開く動作を行います。

あまり大きく動かすと体の中心軸から離れていくことによってバランスがとりにくくなってしまいますので、最初は小さな範囲で構いません。少しずつ動かすことが楽にできるようになってきたら自分の柔軟性、それから筋力、全身のバランス感覚、これらを照らし合わせて少しずつ動きを大きくしていけばそれで十分です。

注意していただきたいのは、体の中心線をしっかり決めて、そこから右はどこまで動くのか、左はどこまで動くのか、この動く範囲の中で必ず左右対称になるようにバランスをとっていってもらえればと思います。

鏡を見ながら自分のフォームをチェックするといことは非常に有効な方法になりますので、ぜひ細かい部分にもこだわって行ってみましょう。

手を腰に当てて膝を高く引き上げます。最初にやった上下の動きに続いて横方向に開いて閉じる、開いて閉じる、これを反復します。

閉じた時には必ず体の中心まで持ってきます。

動きの最中に膝が下がってしまうことがないように出来るだけ膝の高さを維持した状態でしっかりと動作を作って下さい。

膝位置が下がってこないようにする、そこをこだわることによって股関節の強い収縮を引き出すことができます。

これは例えば、前方にダッシュをかける、あるいはボールを強く蹴る、こういったところで非常に役に立つような自分の筋力を育成してくれますので、疎かにすることが無いように丁寧に行っていきましょう。

動作を行っていく最中に外側に開くことだけを意識すると”すね“の位置が膝下から左右にブレてしまうことがあります。焦って脚の動きを作っていくのではなく、膝から下は床に対して垂直な状態、ここをキープした状態で正確に動作を作っていって下さい。

また、立位の時に直立姿勢でしっかりと膝を伸ばすことによって立っている側では特に太ももからお尻の筋肉、この部分にも強い収縮が起きます。片足で立って行うトレーニングを可動域限界のところギリギリで強く行うことによって小さな動きでも非常に強い筋収縮を起こすことができますので、非常に有効なトレーニングとなります。ぜひ、これも丁寧に行ってみて下さい。

股関節周辺のストレッチ(3)-膝で円を描く動き

股関節の特徴として非常に大きな動きをすることができます。色々な角度に動くことができますので、サッカーやテニス、野球の場合とかでも前に出るだけでなく、横の動き、あるいはボールやモノを蹴ったりするときの股関節の動きは非常にダイナミックに多方向に運動を生み出すことができます。

そのため、上下や左右の動きだけでは不十分だと考えられますので、次に行ってほしいのは膝の先端部分で円を描く動きです。

これも一番高く膝を上げたところからさらにその上で円を描くような動きになります。一方向を動かしたら、逆方向へも動かしてみます。

一番高く引き上げたところから円を描いていきますので、円のサイズはそんなに大きくすることはできません。

小さな円のサイズでできるだけ正確な円を描く、こういったことを考えながらゆっくりと丁寧に行ってみましょう。

グッと出来るだけ高く引き上げて、そして膝の先端部分で円を描いていきます。逆方向にも動かします。

小さな円で構いませんので、緩まないように正確に行うようにしましょう。

動かす円の直径は、おおむね10cm位の範囲になると思います。その範囲の中で丁寧に円を描くことを意識して下さい。

終わりに

股関節の動きに関しても足首と同じように上下、左右、そして円を描く、この3つの動きを正確に行うことによって、かなり股関節周りの小さな筋群を強化することができます。

色々な方向に動かなければいけないアスリートの方、健康づくりの中でウォーキングを行うような場合、このようなケースでは股関節の動きの滑らかさが重要になってきますので、小さな動きから丁寧に行うことを心がけて下さい。

毎日運動前に必ず取り入れながら、少しずつ体を温めて、それからメインのトレーニングに入っていかれることをオススメしたいと思います。

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筋トレTV 出演・動画監修 森部昌広 先生
九州共立大学 経済学部准教授・経済経営学科スポーツビジネスコース主任・サッカー部部長、一般社団法人全日本コンディショニングコーチ協会代表理事、一般社団法人日本メンタルトレーナー協会理事、九州大学非常勤講師(健康・スポーツ科学)、財団法人福岡県スポーツ振興公社スポーツアドバイザー、株式会社GET専務取締役、アイ・エム・ビー株式会社取締役、森部塾塾長