筋膜リリースとは、ごく簡単に言えば、「体の機能低下に影響する筋膜の癒着や収縮を解放(リリース)させ、体を正常な状態に整える手法」のことをいいます。癒着・収縮した筋膜をはがして元に戻すことから「筋膜はがし」と言われることもあります。まずは基本を学んでスムーズな実践へとつなげましょう。
筋膜をリリースして体を正常な状態に
筋膜は、伸縮性のある半流動体の膜で頭の先から足の指まで繋がっており、筋肉や骨、血管や神経、臓器などを包み込んでいます。
簡単に言うと、全身を覆っているネットのようなものです。
イメージしやすくするためソーセージを例にすると、ソーセージの中身が筋肉だとすると、その外側に付いている皮(膜)が人でいうところの筋膜にあたります。(あくまでイメージ例です)
筋膜が固まったり、つっぱってしまうと、思うようにパフォーマンスが上がらなかったり、体の柔軟性に支障が出るといったことが起こります。
また、怪我を誘発したり、体の機能低下に影響を及ぼすこともあります。
そのため、筋膜リリース(筋膜はがし)によって筋膜の癒着、収縮を改善、消失させることで、体を正常な状態に戻していくことが大切になってきます。
痛いところとが痛みの原因とは限らない
一般的には痛みの原因は、痛みが発生している箇所であると認識されがちです。
しかし、実に70%程度は痛む箇所とは別の箇所に痛みを引き起こしている原因(トリガーポイント)があるとされています。
そのため、筋膜リリースを施す際には、痛みを引き起こしている箇所、つまりトリガーポイントは痛みそのものが発生している箇所とは違う箇所である場合があることを認識し、自分の体を冷静に見つめることが大切になってきます。
極端な場合は、離れたところにトリガーポイントが発生する場合もあり、肩が痛いのにふくらはぎに原因があったということも起こります。
この点を認識しておかないと、痛いところをピンポイントで筋膜リリースしているけど、一向に痛みが柔らがないこいったが起こり得るのです。
ただ、まったく同じ箇所でないとしても、通常はその近くにトリガーポイントがあることが多いとされています。
そのため、痛みがある箇所だけではなく、その周辺にもくまなく圧をかけることが重要になってくるわけです。(筋トレTVでは、周辺もまんべんなく圧を加える方法で紹介しています)
この場合、ストレッチポールやグリッドフォームローラーなど、転がしたり面でとらえる道具を使うと効率的に圧をかけることができます。
また、上記で説明したように遠く離れた箇所にトリガーポイントがある場合は、なかなか見つけるのは困難かも知れません。
その場合は、痛みがある箇所を含め周辺を筋膜リリースしているけど、痛みが引かないといったことが起こります。
その際のアプローチとしては、専門家に施術してもらうことが最も確実性が高いと言えます。
ただ、まずは自分でできることはないか、あるいは忙しくて専門家を訪ねるのが難しいといったこともあろうかと思います。
そのような場合に最適な方法として取り入れられるのが、全身くまなく筋膜リリースを施すことです。
その際、特に痛みのない箇所に圧を加えているにも関わらず、実際に痛みのある離れた箇所がズキズキやピリピリするような痛みが生じる場合があります。
ここがトリガーポイントの可能性がありますので、その箇所および周辺に対して入念にリリースを試すようにしてみましょう。
自分一人でできる「セルフ筋膜リリース」の方法動画一覧
- 【閲覧中】 筋膜リリース(筋膜はがし)とは/セルフ筋膜リリース実践講座(1)
筋膜リリースは、癒着・収縮した筋膜をはがして元に戻すことから「筋膜はがし」と言われることもあります。まずは基本を学んでスムーズな実践へとつなげましょう。 - 『足の裏』編/セルフ筋膜リリース実践講座(2)
足裏の筋膜リリースは、テニスボールを踏むだけなので手軽に行うことができます。足つぼ効果で冷え性改善にも効果的です。1日1回を習慣にするとよいでしょう。 - 『ふくらはぎ』編/セルフ筋膜リリース実践講座(3)
ふくらはぎは心臓に血液を送るポンプの役目もあります。リリースに関わらず、ほぐすだけでも血行が良くなりますので、習慣にして健康にも役立てましょう。 - 『太もも裏』編(ストレッチポール)/セルフ筋膜リリース実践講座(4)
ストレッチポールの上にハムストリングスを乗せて圧を加えていきます。違和感を感じたら、その部分を入念に圧をかけるようにしてみましょう。 - 『太もも前』編(ストレッチポール)/セルフ筋膜リリース実践講座(5)
うつ伏せの姿勢で太ももの前側に圧を加えていきます。痛みを感じやすい部分なので、まずはゆっくり動作して確認しながら行ってみましょう。 - 『太もも内側(内転筋)』編(ストレッチポール)/セルフ筋膜リリース実践講座(6)
脚を横に広げ内ももをストレッチポールの上に乗せて圧を加えていきます。リラックスして心地よさを感じながら行ってみましょう。 - 『太もも外側』編(ストレッチポール)/セルフ筋膜リリース実践講座(7)
太ももの外側は刺激が入りやすく、無理に圧を加えると反射的に筋収縮が起きてうまく圧を加えられません。加減を調節しながらリリースを施すようにしましょう。 - 『お尻(大殿筋)』編(ストレッチポール)/セルフ筋膜リリース実践講座(8)
お尻の下にストレッチポールやテニスボールを置き、体重を乗せて圧を加えます。姿勢をコントロールして圧を調節しながら、お尻全体をまんべんなくほぐすようにします。 - 『背中(広背筋)』編(ストレッチポール)/セルフ筋膜リリース実践講座(9)
背中側に共通することですが、普段あまり意識することがないため不調に気づきにくい部分です。定期的にメンテナンスをして癒着や収縮の予防・解消に繋げましょう。 - 『肩甲骨周り』編(テニスボール)/セルフ筋膜リリース実践講座(10)
肩甲骨周りのリリースは、圧を加えるポイントに少々コツが必要ですが、普段触れることがない部分をほぐすことができ動作の改善に繋がることが少なくありません。 - 『小胸筋』編(テニスボール)/セルフ筋膜リリース実践講座(11)
小胸筋付近が凝り固まっていると猫背の一因になっている場合があります。癒着の予防・リリースと同時に日頃から凝りをほぐしておきましょう。