ダイエットと言えば食事制限や有酸素運動に意識がいきがちですが、確かな効果を得るには実は筋トレが効果的であるということを詳しく解説していきます。ダイエットに取り組まれている方でうまくダイエットが進まない、効果が出ないといった方、そしてこれからダイエットを行う方で健康的、効果的に体脂肪を蓄えず、燃焼を進めていくための道しるべになれば幸いです。



ダイエットとは?

ダイエットに関心のある方は男女問わず非常にたくさんいらっしゃいます。

ジム(森部先生運営ジム)にいらっしゃる方でも、ほとんどの方の目的はダイエット成功させたいということでお越しになります。

その方々にダイエットってどういうことですかと質問したときに体重を減らしたい、もっと痩せたいということでダイエットと表現されています。

ダイエットとはもともと病気の療養のために行う方法であり、その時に食事指導も含めて行われますが、その食事そのものをダイエット食とか言っていたわけです。

また、大きく分けて肥満症だとか高血圧、それから糖尿病の患者さんの方々に対して専門医が行う指導をダイエットと呼んでいました。

結果としてその患者さんたちの体型・体重等を観察していくと、細くなって体重も減っていたということから、ダイエットが進むと痩せるということで、そこの部分だけが取り出されて、ダイエット=減量、痩せると一般に認識されているのが実際のところです。

筋トレでダイエットはできるのか?

結論から言うと筋トレでダイエットはできるのかというと「できます」と言えますし、ジムにお越しになる方々についても私のジムでは有酸素運動等は一切指導しておりません。もちろん、聞かれた方には(有酸素運動の)指導しますが、運動の効果と言う部分で筋トレだけを基本的にはご紹介をして指導にあたっています。

筋トレの場合は、運動中にどこからエネルギーを持ってきているかというと糖分しか使っていないわけですね。専門的に勉強しますと、筋収縮の直接のエネルギー源はATPという高エネルギー化合物質というものしかないわけですが、これが体の中には非常に少量しかありませんので、すぐに枯渇してしまいます。そうすると運動を持続することができませんので、私たちの体の中にはATPを繰り返し、再合成する回路がいくつか準備されています。

筋トレは1セットあたり30秒~1分前後くらい、比較的運動の持続時間は長い方になります。この時のエネルギー源は糖分を燃焼することによってATPを再合成します。

従いまして、筋トレ中には糖分しか使いません。

この糖分というのは、私たちの体に内臓脂肪や皮下脂肪、いろんなところにたくさん脂肪を蓄えることができるように作られていますが、摂取したエネルギーの中で処理できない、運動エネルギーや日中の活動、それから思考を繰り返すとか大脳の活動の中で消費できない部分、余ってしまった糖分は体の中にグリコーゲンという形で蓄えられる量に限界がありますので、それ以外については中性脂肪の形に作り変えて、内臓脂肪や皮下脂肪としてストックしてしまいます。

従いまして、糖分を多い食事をしている方、糖分を処理できない生活の習慣になっている方は、どんどん肥満化が進んでいくことになります。そうするとある程度自分の許容範囲を超えてしまったり、あるいは健康診断等でひかかってしまうと痩せなければいけないということになるので、初めて何かに取り組もうと思うわけです。

その時の取り組みに筋トレを入れれば、太る原因になったものが糖分の過剰摂取によるものなので、筋トレで入ってくるものを燃焼させてあげれば太りにくくなるというのが一つです。

次に筋トレを始める、いままで扱えなかった重さや10回しかできなかったが15回、20回できるようになったり、3セットしかできなかったのが5セットできるようになったりと、少しずつ筋トレの体力が上がっていきます。

そうすると、時間的な制限はあるかも知れませんが、ある程度の時間ここまでは筋トレできますよという中でトレーニングボリュームが上がってきて、トレーニングの密度も当然ながら高まってきます。

そうしますと、摂取する余分な糖分は筋トレ中に処理できますし、すでに皮下脂肪として蓄えられている分についても安静時の代謝が向上することによって、脂肪を使って維持していくわけですから蓄えられているものをどんどん使って消費していきます。

そのことによって体は時間をかけて少しずつ引き締まっていくことになります。

実はこの時間をかけてというところが非常に重要で、特に成人以降、体の発達が成長期ほど著しくない状況になり、横に大きくなって太ってしまったという方の場合、(急激なダイエットを行うと)皮膚が伸びてしまって若い時ほどうまく縮まなくなってしまいます。

急激にダイエットが成功することによって脂肪は減るけど、皮膚の縮みが追い付かないような場合は、逆にみっともない体になってしまうことに当然考えられますので、実は少しずつ時間をかけて運動の効果が現れるというのは非常にいいことなんですね。

筋トレを始めて、まず毎日の食生活をあまりコントロールしなくても摂取して過剰になっている糖分はエネルギーとしてどんどん使っていけば済む分けですし、そのことによって今以上に太る傾向についてはブレーキをかけることができます。

そして、続けていく中で体力が向上してきて(個々の)筋トレのボリュームを増やすことができるようになったら、そこに果敢にチャレンジをしまして全体としてトレーニングボリュームを増やすことによって安静時の代謝を上げることができます。それにより、何もしてない時でも今までに蓄えていた皮下脂肪や内臓脂肪を燃焼して体を少しずつ引き締めていく効果が筋トレにはあります。

ぜひ継続的に取り組んでやっていただきたいと思います。

その他の筋トレによるダイエット効果

その他、筋トレのメリットとしては、骨格筋の中にUCP3(Uncoupling protein3・ミトコンドリア脱共役タンパク質)というものがありますが、これを使うことによって悪玉のアディポサイトカインを減らす効果があることが分かっています。

悪玉のアディポサイトカインというのは、動脈を硬くする物質で体の中にたくさんある脂肪組織から出されるものですが、筋トレによって骨格筋を積極的に動かすことによってUCP3を増やすことで、悪玉のアディポサイトカインを減らせることが報告されています。

従いまして、筋トレによってダイエットを進めていくと、動脈硬化の抑制にも繋がって高血圧にもなりにくい、健康な体を維持、作ることができるとも言えます。これは非常に筋トレによってもメリットであると言えます。

筋トレによるダイエット法

では、どのような筋トレをやっていけばうまい具合にダイエットが進むのかということについては、あまり難しく考える必要はなく、まずは出来ることから始めて下さい。

トレーニングジムなどに通えば、そこのインストラクターが皆さんに合った運動プログラムを作ってくれますが、近くに施設がない、ジムに行くことができない、自宅で何かできないのかといった場合はダンベルを2つ準備するとかですね、バーベルでも構いませんけど、ある程度のおもりがあれば十分に自宅で運動をすることができます。

我々の体というのは、両手両足があって直立で立つことができるわけですが、筋トレに関しては(筋肉への働きかけとして)動かした部分にしか運動の効果は出てきませんので、全身をいくつかの部位に分けて考えていただければ非常に進みやすくなります。

体全体で見た時に「首」、「胸」、「肩」、「腕」、「腹部」、「背中」、「脚(下肢)」と、このように全身をいくつかの部位に分け、それぞれの部位から代表的な筋トレ種目を選んで取り組んでいけばよいでしょう。

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もし、やっていく中で鏡に映った自分の姿だとか、着衣をした時の服のフィット感などをみて、効果が出ている部分とあまり効果がみられない部分とか、アンバランスが出てきた場合には効果が出ていない部分についてトレーニング種目を増やしてみたり、運動の強度を上げることによって必ずその部分に効果が出てくることになります。

ぜひ、全身を少しずつバランスよく鍛えていくという感覚を持っていただきたいと思います。

最初にやるなら腕立て伏せがおすすめ

自宅の中で道具がなくても簡単にできる方法だと、「腕立て伏せ」があります。

腕立て伏せの形ですと、真っ直ぐ立っている状態から床に向かって体が倒れ込んでいるような状態になりますので、重力のラインに対して体全体が90度に近い状態に近づいていきます。

例えば、完全に90度というのは脚を椅子など台の上に置いて体が床に対して平行になった時が体幹部分に関してはもっとも負荷がかかった状態になるわけですが、そこまでいかなかったとしても、少し体が斜めになった腕立て伏せの状態であったり、女性やあまり体力のない方であれば壁に手をつける感じでもう少し立位に近い状態でも構いません。

その状態で、腕や脚、体全体を使って自分の体重を支えるという方法が一番簡単にできる筋トレで、これが入口になります。

徐々にステップアップしていく

まずは動かなくても結構です。しっかりと腕の伸ばして、脚を伸ばして、体幹を真っ直ぐに固定した状態で自分の体を維持する。そうすると普段は重力に対してほぼ平行に立っていますが、その状態から傾いていくことによって筋力というのは自分で意識しようが、しまいが必ず負荷を受けることになります。非常にきつい状態になっていくわけですね。

そこで耐えるというのが、第一段階です。

アームスタンディング

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楽になってきたら腕を曲げる、伸ばす、関節の曲げ伸ばし運動を加えてみます。これが第二段階になります。(深く曲げずに、少し曲げるところから始めて構いません)

【深く曲げる方法】

腕立て伏せ

【浅く曲げる方法】

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第三段階は、その反復回数を少しずつ増やす。

第四段階では、同じ動きで構わないので、運動の速度を上げていく。

第五段階では、それを複数セット行う。

こういった組み合わせによって徐々に運動の強度を上げることができます。

試しに、腕立て伏せだけでも1ヶ月間継続して、週に一回で構いませんから運動のレベルアップポイントを作って進行させていきますと、1ヶ後にはまったく違う体力、体を作ることが十分にできます。

どうしても腕立て伏せの場合だと、腕や上半身ばかりがきつくなってしまって、脚はあまり運動の効果がないような感じがする方は、腕立て伏せの時に片足だけ浮かした状態で支えてあげると軸になっている方(床に接地している方)の太ももが非常に強い刺激を受けることになります。もし、脚を細く引き締めたいといった場合は、それで十分な効果を出すことができます。

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あるいは、男性の方や少し肥満気味な傾向にある方で、上半身は大きいのに脚が細くて動くのがしんどかったり、体力的にあまり自信がない、階段の上り下りをしたときに疲れがひどいといった方は、下肢をトレーニングする種目としてスクワットをオススメします。

スクワットは、端的に言いますと膝の曲げ伸ばし運動ということになります。

スクワット

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膝の曲げ伸ばしをするときに一つだけアドバイスをさせていただくなら、膝を前に出す曲げ方ではなく、お尻をうしろに一旦引きながら、そのあとに膝を曲げていくようにすると膝をあまり前に突き出すことがなく腰を沈めることができます。

そうすることで、膝の安全性を維持したまま太ももに刺激を加えて、特に消費エネルギーの大きくなるような運動が行えることになります。

太ももやお尻の筋肉は、体の中でも非常に密度の高い筋群で構成されていますので、そこの部分に曲げ伸ばしの負荷を与えてあげることによって、消費エネルギーを高めることができるわけですね。

可能であるならば、腕立て伏せ、スクワット、まずはここからはじめて基礎体力を高めていき、筋トレに慣れて、そしてダイエットの進行を進めていただければと思います。

筋トレTV 出演・動画監修 森部昌広 先生
九州共立大学 経済学部准教授・経済経営学科スポーツビジネスコース主任・サッカー部部長、一般社団法人全日本コンディショニングコーチ協会代表理事、一般社団法人日本メンタルトレーナー協会理事、九州大学非常勤講師(健康・スポーツ科学)、財団法人福岡県スポーツ振興公社スポーツアドバイザー、株式会社GET専務取締役、アイ・エム・ビー株式会社取締役、森部塾塾長