レッグランジは脚力強化をはじめ引き締まった太もも、たくましい太ももを作るためのオーソドックスな筋トレの一つです。しかし、正しいやり方で行わなければ筋トレ効果は半減してしまいます。今回は正しいレッグランジの方法を徹底解説することで、アスリートの方々をはじめ、ボディメイクしたい老若男女の方々の効果アップを図りたいと思います。



レッグランジのベーシックな方法

脚力を強化しながら股関節周りの柔軟性を改善させるのに非常に有効なレッグランジを詳しく解説します。

レッグランジは、脚を大きく一歩踏み出して膝を屈曲させていく動作になります。前方に脚を大きく踏み出して、前脚の膝でしっかりと体重をさせていきます。曲げたときの膝の角度は90度くらいまでと覚えておいてください。そこから前脚を蹴って元の姿勢に戻ります。

交互に行う方法と片足だけ連続する方法とあります。どちらも有効なトレーニングになりますので、回数を決めて行うとよいでしょう。

特に左右でアンバランスがるような方の場合は、まずは右だけやって、左だけやって、という形を同じ回数でプログラムを組んでいくことが大事です。

左右の差が無くなってきたら交互に行うようにします。交互に動作する中で左右のぐらつきが無いかどうかをチェックポイントとして考えておけばよいと思います。

また、脚を踏み込む幅の問題ですが、実際に行うときは床の上にテープでマーキングをするなどの工夫をしながら、何度やっても同じ足の幅が確保していくということが非常に重要です。

手のポジションは一般的には頭のうしろに組む方法が多いので、最初はこの方法からスタートするとよいでしょう。

慣れてきた場合には、両手にダンベルを持つ、あるいはバーベル等の負荷を持ってさらに過重負荷を上げていくとよりトレーニング強度が高くなっていきますので、こういったことも段階を追って進めていって下さい。

今回は頭のうしろに手を組んで行うやり方で、さらに詳しく説明したいと思います。

レッグランジを極めるためのポイント

頭に手を組んだ状態から、大きく前に一歩前に踏み出していきます。

脚を踏み出していくときのイメージとしては、自分の膝と同じ高くらいのところにロープなどが張ってあると思って下さい。それをまたぐようなイメージで踏み込んでいきます。

軸脚は片方の膝を引き上げた時に一瞬かかとが浮く状態になります。より遠くに脚を踏み出す、こういったところをイメージしながら、できるだけ膝を高く抱え上げて、そこから前に踏み出してください。

注意しないといけないのは、脚を踏み込んだ時に膝の位置がつま先よりも前に出てしまうことです。膝関節が90度よりも深く、鋭角に曲がってしまった場合には、膝にかかる負担が非常に大きくなってしまいますので、繰り返し行っていくことによって怪我が増えてくる可能性が高くなります。そのため、トレーニングするときにはできるだけ最大膝関節の屈曲角度が90度よりも深くならないように、そこを注意して行っていきましょう。

これを逆の脚でも同様に行っていきます。

出来るだけ高く引き上げて、大きく前に踏み込んでいきます。そして、前足でしっかりと蹴って元の位置に戻りましょう。脚を引きずって戻らないようにしましょう。

大事なのは大きく踏み込む。踏み込んだ時に前足で床をしっかりと蹴って元に戻ってくるということを大事にして下さい。

どうしてもうしろに残っている方の足で引っ張ってしまうというケースがよくあります。これは間違ったランジの動きになりますので、必ず踏み込んだ足で蹴って戻ってくる。高く引き上げて踏み込む、蹴って戻る。この動きをしっかりとマスターして行ってみましょう。

もう一つ注意しなければいけないのは、踏み込む時にかかとからドンと付かないということです。実演では意識的につま先の方から踏み込んでいますが、理想はつま先からかかとまでがほぼ同時、足の裏全体が同時に付くことによってショック(衝撃)を吸収します。

最も怪我をしにくいのは、つま先から入って膝関節の角度が90度までのところで終わる運動が一番安定性が高くなります。

怪我を誘発するようなトレーニングは最悪な方法になりますので、あくまでも筋トレを繰り返すことで強くなっていかなければ意味がありません。

特にスポーツをやっていて走るのを速くしたい方、あるいは筋トレで下肢を特に強化して他のスポーツや自分のパワートレーニングに展開していきたい方の場合には脚力そのものが強くなっていく必要があります。

かかとからぶつけていくと(床に接地すると)、どうしても床から反発で受けてくる衝撃が大きくなってしまいますので、場合によっては膝関節等に過大な負荷がかかってしまって怪我が助長されてしまうことになります。ぜひ、そういことがないように踏み込む時の接地の仕方、これをしっかりと考えて、やっていただきたいと思います。

交互に行うレッグランジ

次に交互に行うやり方を説明します。

右を踏み込んだから、次は左を踏み込む形で交互に行います。

上げて踏み込む、蹴って戻る。これは、片方ずつ行うのと同じです。そこから今度は逆の脚で踏み込み蹴って戻る。このように左右交互に行っていきます。

この動きは、横から見た時、うしろ脚の延長線上に体が乗っかる形になるのが正しいやり方になります。前方に傾いた時にカタカナの“イ”の字のような状態で動作を作るわけですね。 これは片脚を別々に行う場合も同じです。

一般的に教えられるレッグランジの場合、上体が起きた形で前脚の膝が屈曲、そして体が沈んでいくというのがよくトレーニングの本などに載っています。

このように体を起こしてしまうと、うしろ脚の膝が曲がってしまいます。それから腰の反りが大きくなってしまいます。

このような動きは、実際のスポーツとかの世界にはありませんので、役に立たない動きになってしまいます。

ぜひ、踏み込んだ時に上半身はうしろ脚の延長線上に乗るような形で、直線をなるべく崩さないように意識して下さい。

あくまでも筋トレで強くなっているのは、踏み込んだ屈曲した脚になります。

うしろ脚の膝が曲がった場合には、うしろ脚の太ももの筋力、大腿四頭筋を使ってトレーニングしていますので、せっかく前に踏み込んでスプリットさせているのに前足の強化が中途半端に終わってしまいます。

かけた負荷を少しでも踏み込んだ脚でトレーニングを行うことによって、より大きな負荷を踏み込んだ脚に掛けることができますのでトレーニング効果が大きくなります。

決して踏み込んだ時にうしろ脚を曲げ、前後の脚でトレーニングしてしまわないように注意をして下さい。

これは私(森部先生)が指導するときと他の方々が指導するときと大きな違いだと言えます。ぜひ、正確にこのトレーニングフォームをマスターしていただきたいと思います。

レッグランジのステップアップ

正しい方法で片足ずつ完全にできるようになってきたら、交互に動作するようにします。そして、長いスパン(距離)がとれる場合には、ウォーキングに切り替えていくことによってランジウォークという動作でトレーニングすることができます。

こうした動きをダイナミックに行っていくことによって、徐々に実際の走る動作などに展開ができるようになっていきます。

特に走力を上げたいような競技をやっている人、例えばサッカー、バスケットボール、野球などの競技をやっている方々にも非常に有効なトレーニングになります。

まずは室内で構いませんので、その場で左右対称の動きができるように、そして徐々に負荷をかけていって、それからだんだん大きな動き、連続した動作に繋いでいくということを心がけていきましょう。

復習

前足を踏み込んで床に接地するときは、足の裏全面がほぼ同時に床に接地させます。できればつま先側から入って床面から受けるショックをできだけ少なくします。

そして、踏み込んだ時の上半身は、上体を立てる(腰が反った状態)のではなく(よくあるランジ)、うしろ脚の延長線上になるように自然に傾けます。

これらがトレーニング効果を上げる上で非常に重要なポイントとなります。

正しくやることによって、左右にぶれるような筋力のアンバランスを修正する能力が高くなりますから、ぐらつきにくくなる、太ももの外側内側の筋肉がバランス良くついてくる、そして片脚で体重を支える強さというものが上がっていきます。そのため、走ったり、ジャンプしたり、いろいろなスポーツの動作にも展開がやりやすくなるメリットがあります。

ぜひ、一つひとつ丁寧にクリアしていきながら、右脚左脚を対称に徐々に筋トレ効果を出していくようにしていただければと思います。

筋トレTV 出演・動画監修 森部昌広 先生
九州共立大学 経済学部准教授・経済経営学科スポーツビジネスコース主任・サッカー部部長、一般社団法人全日本コンディショニングコーチ協会代表理事、一般社団法人日本メンタルトレーナー協会理事、九州大学非常勤講師(健康・スポーツ科学)、財団法人福岡県スポーツ振興公社スポーツアドバイザー、株式会社GET専務取締役、アイ・エム・ビー株式会社取締役、森部塾塾長