部位別の筋膜リリース(筋膜はがし)の方法を学べる実演動画をはじめ、筋膜の性質、リリースするとどのような効果につながるのか?、筋膜に問題がでる原因は?、セルフ筋膜リリースするのに便利な道具などを学んできましょう。
目次
筋膜リリースの道具について
自分一人で行う筋膜リリースではストレッチポールとテニスボールを用いて行います。ストレッチポールに変えてグリッドフォームローラーでも行うことができます。
必要に応じて用意しておきましょう。
テニスボールを2つ繋げて行う種目は、テーピングなどで固定して利用します。
筋膜リリースで、体が本来持つ機能を正常な状態に戻してあげましょう。
一人でできる「セルフ筋膜リリース」の方法動画一覧
- 【概説】 筋膜リリース(筋膜はがし)とは/セルフ筋膜リリース実践講座(1)
筋膜リリースは、癒着・収縮した筋膜をはがして元に戻すことから「筋膜はがし」と言われることもあります。まずは基本を学んでスムーズな実践へとつなげましょう。 - 『足の裏』編/セルフ筋膜リリース実践講座(2)
足裏の筋膜リリースは、テニスボールを踏むだけなので手軽に行うことができます。足つぼ効果で冷え性改善にも効果的です。1日1回を習慣にするとよいでしょう。 - 『ふくらはぎ』編/セルフ筋膜リリース実践講座(3)
ふくらはぎは心臓に血液を送るポンプの役目もあります。リリースに関わらず、ほぐすだけでも血行が良くなりますので、習慣にして健康にも役立てましょう。 - 『太もも裏』編(ストレッチポール)/セルフ筋膜リリース実践講座(4)
ストレッチポールの上にハムストリングスを乗せて圧を加えていきます。違和感を感じたら、その部分を入念に圧をかけるようにしてみましょう。 - 『太もも前』編(ストレッチポール)/セルフ筋膜リリース実践講座(5)
うつ伏せの姿勢で太ももの前側に圧を加えていきます。痛みを感じやすい部分なので、まずはゆっくり動作して確認しながら行ってみましょう。 - 『太もも内側(内転筋)』編(ストレッチポール)/セルフ筋膜リリース実践講座(6)
脚を横に広げ内ももをストレッチポールの上に乗せて圧を加えていきます。リラックスして心地よさを感じながら行ってみましょう。 - 『太もも外側』編(ストレッチポール)/セルフ筋膜リリース実践講座(7)
太ももの外側は刺激が入りやすく、無理に圧を加えると反射的に筋収縮が起きてうまく圧を加えられません。加減を調節しながらリリースを施すようにしましょう。 - 『お尻(大殿筋)』編(ストレッチポール)/セルフ筋膜リリース実践講座(8)
お尻の下にストレッチポールやテニスボールを置き、体重を乗せて圧を加えます。姿勢をコントロールして圧を調節しながら、お尻全体をまんべんなくほぐすようにします。 - 『背中(広背筋)』編(ストレッチポール)/セルフ筋膜リリース実践講座(9)
背中側に共通することですが、普段あまり意識することがないため不調に気づきにくい部分です。定期的にメンテナンスをして癒着や収縮の予防・解消に繋げましょう。 - 『肩甲骨周り』編(テニスボール)/セルフ筋膜リリース実践講座(10)
肩甲骨周りのリリースは、圧を加えるポイントに少々コツが必要ですが、普段触れることがない部分をほぐすことができ動作の改善に繋がることが少なくありません。 - 『小胸筋』編(テニスボール)/セルフ筋膜リリース実践講座(11)
小胸筋付近が凝り固まっていると猫背の一因になっている場合があります。癒着の予防・リリースと同時に日頃から凝りをほぐしておきましょう。
筋膜リリースとは
痛みの引き金になっているポイント(トリガーポイント)を軽めの圧迫やけん引によって筋膜を解放(リリース)させ、筋膜の癒着(コラーゲン繊維の結合)により生じる収縮、または硬縮(凝り固まった状態)を改善、消失させる手法(手技)のことを筋膜リリースと言います。
簡単に言えば、ストレッチやマッサージの技法の一つと言え、一箇所に施す時間がストレッチやマッサージよりも長く、60秒程度から状態によっては、3~5分かける場合もあります。
筋膜は、伸縮性のある半流動体の膜で頭の先から足の指まで繋がっており、筋肉や骨、血管や神経、臓器などを包み込んでいます。
この筋膜がねじれや収縮して固くなっていたり、癒着すると痛みが生じ、柔軟性が損なわれたり、運動においては可動域に制限が生じ、本来の動作ができなくなってしまうのです。
癒着、収縮の原因としては、長時間同じ姿勢のまま生活や仕事をしている人、運動不足や体を動かすことが少ない人、怪我やねんざなどで筋膜が炎症を起こしている場合、さらには日頃のストレス等が挙げられます。
癒着、収縮した状態のまま無理な動きや負荷ががると炎症を起こしたり、またはその制限を補おうと別の部位に痛みが出たりと影響が出てくることがあるので、違和感を感じている個所があれば、事前に筋膜リリースを施し、正常な機能を保っておきたいところです。
時間をかけてコラーゲン線維をほぐす
筋膜は、コラーゲン繊維と弾性繊維で構成されています。
ストレッチに比べ時間をかける必要があるのは、弾性線維は、「伸縮性があり伸びやすい」が、コラーゲン線維は「柔軟で丈夫だが伸びにくい」という性質があるためです。
筋膜の収縮は、コラーゲン線維の癒着が原因で発生し、その伸びにくい性質を持つコラーゲン繊維をほぐすためには、時間をかけて、ゆっくりと伸ばし、癒着をはがしてあげる必要があるのです。
癒着をはがすことで、体や関節の動きがスムーズになり、硬くなった筋膜に弾力が戻り柔軟性も高められます。
筋膜リリースの効果
日常生活においては、つらい痛みから解放されることはもちろん、姿勢の改善、血流の改善にもつながります。
血流の改善は、肩こり解消、冷えの改善、老廃物の除去や代謝アップにもつながります。
また、筋膜の収縮や癒着は、体を動かす際の制限なります。
つまり、痛みが生じることで精神面での動作の制限、そして物理的に動作に支障が出る機能面の双方によって動作に制限が出ることになります。
これらの制限要因を筋膜リリースによって根本的に取り除くことで、本来持っていた柔軟性が蘇ることになります。
その結果、日常生活においてスムーズな動作が可能となり、活動的になったり、動作が楽になったりと様々な恩恵を与えてくれることになるでしょう。
スポーツや筋トレをされている方は、関節可動域の改善、動きにキレが戻るなど、筋膜リリースを施すことでパフォーマンスの向上、怪我の予防、筋トレ効果の向上に役立ちます。
体に原因不明の痛みや不調、関節の動きに違和感がある場合などは、筋膜に原因があるかも知れません。
筋膜が原因であれば、痛みや違和感が生じている箇所を探して、痛みがある部分とその周辺をほぐしてあげることで痛みの解消、改善に効果を得られるでしょう。
無理に圧をかけるのはよくありませんが、動画を参考に無理のない範囲からリリースを施してみるのもよいでしょう。
筋膜に問題がでる原因は?
筋膜は、生活習慣や無意識のクセが原因で癒着や収縮が起こることが少なくありません。
特に同じ姿勢や負担が長時間、または断続的に続くような場合です。
座っている時間が長い、スマホを長時間扱っている、テレビを同じ姿勢で見ている、脚をよく組む、いつも同じ側にカバンを持つ・かける、などが挙げられます。
もし、普段から長時間同じ姿勢をとることが多かったり、片側に負担がかかるような習慣やクセがある場合は、それらを直したり、改善することで筋膜の癒着や収縮を予防することができます。
予防の点で言えば、日頃からのスタティックストレッチも有効です。
血流を促し、老廃物の滞留やコリを解消させておくことで、筋膜の癒着・収縮を未然に防ぐことが可能となります。
また、怪我やねんざなども原因のひとつとされ、筋膜の炎症が回復する過程で癒着・収縮していく場合があります。
怪我やねんざは回復したけど、今度は筋膜に影響が出たといったことがないように、怪我やねんざをしたら放置せずにしっかりとケアを行うことが大切です。
筋膜リリースを行う効果的なタイミング
筋膜リリースを行うタイミングに決まりはありませんが、より効果的なタイミングはあります。
それは、体が温まっているときです。
体が温まっているときは、血行が促され筋膜や筋肉が緩みます。
その時をねらって筋膜リリースを施すことで、筋膜が伸びやすく、また疲労物質や老廃物も流れやすくなり、より痛みの解消を助けてくれることになります。
体が温まっている効果的なタイミングはいつでしょうか?
最も分かりやすいのは、運動後や入浴後だと思います。
その中でも入浴後が一番時間を取りやすく計画しやすいと思いますので、一日の疲れをとった後、筋膜リリースするようにしてみはいかがでしょうか。