腹直筋と腸腰筋を鍛える「シットアップ」のトレーニング方法を実演・解説します。腹筋運動の代名詞とも言えますが、腹筋を集中的・効率的、かつ安全に鍛えるならクランチがおすすめです。シットアップは腸腰筋も同時に鍛えたい場合に取り入れるとよいでしょう。
鍛えられる筋肉
第1ターゲット ・・・ ■腹直筋 ■腸腰筋
※腸腰筋=腸骨筋、大腰筋、小腰筋から構成される腹部の深い位置にある筋肉・インナーマッスルの一つ。
種目解説
シットアップは、多くの人が実践したであろうもっともオーソドックスな腹筋のトレーニングの一つです。
体を丸めながら上体を起こすことで、腹直筋、腸腰筋に負荷をかけ、腹筋の強化・引き締め・脂肪燃焼、内臓の位置を整えることなどに効果が期待されます。
腸腰筋においては、股関節を屈曲させる筋肉で短距離走など瞬発力を要する競技においても強化が望まれる筋肉です。
また、日常生活において腸腰筋は歩くときに脚を前に出す際に働く筋肉なので、歩行をスムーズにする上でも大切です。
腸腰筋をより刺激するためには、脚を真っ直ぐに伸ばして行うと効果的です。
ただし、腰への負担は大きくなるので、腰に負担のある人は控えておいた方がよいでしょう。
なおシットアップは、腰への負担が大きいため、特に腸腰筋を鍛える必要が無ければ、腰痛持ちや腰に不安のある人はシットアップは控え、クランチ(カールアップ)系のトレーニングをオススメします。
動作方法
- 仰向けの姿勢で膝を曲げ、手を頭の横に添えます。
- この姿勢から背中を丸めながら反動をつけずに起き上がります。
- 完全に起き上がったら、ゆっくりと元の姿勢に戻ります。
・背骨を1つ1つ付けていくイメージで下ろすとよいでしょう。
・下ろした時は、肩が床につかないようにします。 - 下ろしたらすぐに起き上がり同様の動作を繰り返します。
この姿勢がスタートポジションになります。
ポイント
- 体を丸めながら、反動を使わずゆっくり起き上がる
- 足が動かないようにしっかり固定する
- 戻るときも、腹筋に負荷をかけながらゆっくり戻る
- 常に腹筋を意識する
目標回数
15~20回×2~3セット
シットアップで負荷を高くする方法・低くする方法
シットアップで負荷を高くする(上げる)方法にはいくつかのバリエーションがあります。
筋トレを続けていると筋力がアップしてきて、同じ回数行ったとしても徐々に楽にできるようになってきます。
そのまま続けたとしても、筋肉は刺激に慣れて成長しなくなってきます。
筋肉が「もうその負荷には慣れたから、これ以上成長させる必要はない」と言っているようなものですね。
つまり、耐性がつき、その部位に対してあたりまえの負荷になってしまい負荷が負荷でなくなってしまうのです。
健康維持目的であれば、それでも有効なのですが、筋力や筋肉を成長させていきたい場合は効果に乏しく、のちに成長が頭打ちしてしまいます。
それを回避する方法として挙げられるのが、負荷を高めることです。
(詳細ページ⇒「過負荷の原理」「漸進性(ぜんしんせい)の原則」)
筋力の向上に応じて筋肉にもっと強い刺激を与えてあげる必要があるんですね。
そのペースは、今日明日ですぐに高められるものではありません。階段を上るようにして段階的に高めていきます。
余談ですが、負荷は実際の筋トレで筋肉や関節にかかる直接的な荷重を表しています。
それは自重の場合は重心の置き方や姿勢、あるいはパートナーに荷重をかけてもらったりすることで変化します。
ダンベルやバーベルであれば重量そのものを増やすことで負荷は変化します。
例えば、1kgのダンベルでトレーニングしていたが、筋力がアップして楽にできるようになったので、1.5kgに負荷を上げた。言葉としては、こんな使い方をします。
似た言葉に”強度”があります。
”強度”も筋肉や神経系にかかる刺激の度合いを表しています。
違う点は、いろいろなタイプによって構成されていると言うことです。
重さや荷重を加える負荷だけではなく、反復回数を増やす、セット数を増やす、休憩時間を短くするなど、これらはすべて強度を高める方法で筋肉に対する刺激に変化を与えます。増やすを減らす、短くを長くに置き換えると強度が低くなります。
すなわち、負荷の変化は強度を変化させる方法の一つであり、筋肉に対する刺激に変化を与える方法は一つではないと言うことです。
(ここでは説明上厳密に分けていますが、負荷は強度の設定に含まれる要素なので、負荷を強度と表現しても間違いではありません)
筋トレ効果を継続して高めていくには、強度を高める構成要素のいずれか一つ、または複数を変化させることで強度を上げていく方法が取られます。
余談が長くなりましたが、ここではシットアップで強度を高める要素のひとつ”負荷”を加えて筋肉への刺激を高める方法をご紹介します。
シットアップアップで負荷を高める方法として考えられるのが、動画でも実演している手の位置を変化させる方法です。
実演では負荷が高い方から紹介しています。
手の位置を頭に添える方法が一番負荷が高く、次に胸の前でクロスさせる方法、お腹の上に手を置く方法、手を前に伸ばして行う方法。この順番で低くなっていきます。
これは腕をおもりとして考え、その重りが支点(シットアップの場合はお尻)から遠くなるほど負荷が高くなり、近くになるほど負荷が低減していくという物理の法則に沿った負荷の変化の付け方です。
シットアップではありませんが、実際におもりを持って行う「ダンベル・クランチ」という種目もあります。
シットアップでは、胸の前にプレートやダンベル、あるいは厚めの本を抱えて行うことで応用できます。
自重では得られない負荷をかけられるので、自重で物足りなくなったときに負荷を高める方法として取り入れるとよいでしょう。
これらは体力に応じて使い分けし、体力がアップしてきたら負荷が高くなる方法に順次移行していくようにしてみましょう。
そうすることで筋肉を慣れさせることなく、継続的に筋トレ効果を得ることができるでしょう。