大小の差はあれども多くの人が猫背、あるいは猫背気味になっていることが少なくありません。自分で気づいていない場合もあります。なぜ、猫背になるのか?今回は猫背と重心位置の関係から背中が丸くなる原理と、その改善方法を導きます。



猫背は重心の位置を変えることで改善できる

猫背の姿勢を改善するための方法について考え方を解説したいと思います。

猫背は、真っ直ぐに立ったときに背中が丸くなっている人のことを猫背と言っています。これは姿勢が悪いと言うことであまり好まれないわけで、猫背の姿勢になっている人は自分でも気にしてもいますし、周りの人から指摘されることも多いです。

よくスポーツクラブなどに行くと、猫背になっていると背筋力が弱いからだと言うことで指摘を受けてトレーナーの方に背筋力をつけたらいいよと、背中のトレーニングプログラムを組まれる方が非常に多いです。これは一般的に行われている手法なので、多くの方が何となくイメージは付くと思います。

ところが、背筋力が足りないから本当に猫背になっているのかと言うと実はそうではありません。

そもそも立つことができている時点で最低限の筋力はあるわけですから、問題は筋力が足りないから猫背になっているのではないと言うことに気が付く必要があります。

では、どこに問題があるのかと言うと、そもそも姿勢は毎日の生活の中でどのような状態に自分がいるのかということが一番大きな影響を与えます。

例えば、学生さんの場合ですと授業中、机に肘を付いて顎に手を当て頬杖を付いている状態だとか、首を垂れて居眠りをしているとか、そういった事が日常になっているとそのような状態で骨格がゆがんでいくわけですね。

ですから、姿勢を正しなさいと言われるわけですが、姿勢を正そうと思うとき真っ直ぐに立った状態を維持するのが難しいのが体が重いからなんですね。

頭の重さ、胴体の重さ、そして骨格の長さと言うものがありますので、その物自体をコントロールするのが筋力になりますから、筋力が足りないと姿勢を維持することが難しいというのはあっています。

かかと重心から、つま先重心へ

ただ、猫背に関して言うと、一つ大きな問題点があります。

真っ直ぐに立ったときに、我々は二足で立っている分けなんですけれども足のどこに体重がかかっているのかということを考える必要があります。

多くの方はどこに体重がかかっているのかと言うと、立位の姿勢になった時にかかとに体重がかかっているがために通常体はうしろに倒れる力がかかっているわけです。

ところが、うしろに倒れると言うのは、非常に体にとっては不都合になりますので、かかとに重心がかかっているんだけれど、重い頭を前方にズラすことによって前後のバランスを取っていると言うのが猫背の正体です。

そうしますと、かかとに体重がかかっていると言うのが、スタートの時点で問題になるわけですから体重がかかっている位置をつま先方向にシフトさせて重心の位置を変える必要があります。

ただ、重心の位置を前方変えると、体は傾き前屈みになり、そのままでは前に倒れてしまいまいます。

しかし、足の指に体重がかかると、倒れないように勝手に重力のラインに体が揃うようにバランスを取ってくれるようになります。

したがって、筋力そのものよりも立位の時に足の裏のどこに、かかと側なのか、つま先側なのか、どこに重心がかかっているかということによって姿勢は大きく変わることを、ぜひ理解して下さい。

つま先に体重をかけてでもその場所から動かずに真っ直ぐに立とうと思うと、三半規管のバランス感覚調整によって、勝手に姿勢が起きていることになります。

つまり、ほとんどの方は毎日生活している中でかかとに体重がかかっている立ち方をしているがために背中が丸くなっていることに気付く必要があります。

猫背を改善するために、どのように取り組んでいけばいいのか?

猫背を改善させるための取り組みとしては、つま先側に体重を移すためのトレーニングや姿勢のとり方を考えていく必要があります。

簡単にできる方法としては、気を付けの姿勢をとります。このままの状態ですとかかとに体重がかかっていますので、この状態から少しずつ前に体重をかけていって、足の指でしっかりと踏ん張らないといけない状態を作ります。

最大に親指に荷重がかかった状態でキープします。その際、ほんのちょっとだけ“かかと”が浮く状態のところでキープするようにします。そうすると足の指にしっかり体重がかかっていることになります。

この状態によって姿勢をしっかりとコントロールできるようにします。そして、持続時間を長くすることによって必要なバランス感覚も改善できますし、足の指にもしっかりと力がかかってきます。猫背改善策としては、まずは、ここからスタートしていただければと思います。

それ以外の部分に関しては、腕立て伏せの形をとるなど、体重を全部前に預けるようなフォームで行うトレーニングはすべて足の指に力が入ってきますので、かなり効果が出てきます。

または、ダンベルやバーベルなど、ある程度のおもりを使ったウエイトトレーニング(筋トレ)。特にマシントレーニングではなく、フリーウエイトでのトレーニング(ダンベルカールなど)だと足の指に力を入れることができます。

重いものを持って上げる時には、足の指で踏ん張らなければ姿勢を支えることはできません。したがって、ある程度の重量を使った負荷の大きな筋トレを行うことは姿勢の改善にも非常にプラスになりますので、ぜひ実践いただきたいと思います。

関連リンク : 猫背改善・予防ストレッチ

筋トレTV 出演・動画監修 森部昌広 先生
九州共立大学 経済学部准教授・経済経営学科スポーツビジネスコース主任・サッカー部部長、一般社団法人全日本コンディショニングコーチ協会代表理事、一般社団法人日本メンタルトレーナー協会理事、九州大学非常勤講師(健康・スポーツ科学)、財団法人福岡県スポーツ振興公社スポーツアドバイザー、株式会社GET専務取締役、アイ・エム・ビー株式会社取締役、森部塾塾長