筋肥大に効果的な反復回数など、筋トレの強度・負荷設定について基本を学びます。重量や反復回数などを設定せずに、ただやみくもに筋トレをしても目的に応じた効果を得ることはできません。今回は適切な強度設定について学んでいきましょう。
概要と補足
過負荷の原理や漸進性の原則で解説したように、同じ強度・負荷で筋トレをやり続けても筋力アップや筋肥大などのさらなる成果を得ることができません。
また、強度を変えるだけでなく、どのような目的でトレーニングをしているのかを意識し、その目的に応じた強度を設定する必要があります。
今回は、筋力アップ、筋肥大、筋持久力アップについての強度設定を学びます。
RMとは?
まずは強度設定の前提として、RMの意味を覚えておきましょう。
RM(アールエム)とはRepetition Maximum(レペティション マキシマム)の頭文字を取ったもので、「ある負荷を1セットにおいて反復できる最大反復回数」を表します。
例えば、1セット8回の反復は可能だが、9回目は全くできないか、途中で潰れてしまう、という場合は、8RMと表します。
また、1回だけ挙げること(反復)できる最も重い重量は、1RMと表します。
つまりMAX(マックス)のことで、誰かが「俺のベンチプレスのMAXは100kg」といった場合、その人にとって100kgが1回だけ挙げることができる重量になります。
以上のRMを用いて強度(負荷)の設定を行うことになりますので、概念を覚えておきましょう。
重量よりも反復回数
強度(負荷)の設定で基準となるのは、目的に応じた効果に得るために導き出された反復回数になります。重量ではないことに注意して下さい。
誰でも一律に何kgで筋トレすれば、その重さに応じた効果が出るということはありません。
重量は、体力や年齢、性別などで大きな違いがでてきますので、一律に決めることはできないのです。
そのため、目的に応じた効果を得るためには反復回数が重要であり、その回数によって筋肉に対する適応(効果)に違いが出てくることになります。
なお、RMの説明でも少しでてきましたが、ここで言う反復回数は最大反復回数(限界の反復回数)を表しており、その回数(回数の範囲=RMターゲットゾーン)を超えて一回も挙げられない回数のことです。
つまり、8RMで設定するとした場合は、ギリギリ8回反復できるが9回目はできないことを表しています。
重量に関係なく、その回数を行えばいいと言うことではありませんので、注意して下さい。
ただ、10RMと決めたら絶対的に10回ぴったりが限界になるように設定しなければいけないという分けではありません。
目標がないと筋トレの質の低下を招きますので、回数を決めて、その回数を目指しますが、多少の前後は許容範囲です。
基本的には、目標反復回数は目的に応じた範囲、つまりRMターゲットゾーンで設定します。
例えば、筋肥大目的で10回と回数を決めた場合、10回が限界であろう重量で設定しますが、8~12回に収まれば問題ありません。
さて、講座では、目的別に筋力アップ、筋肥大、筋持久力アップについて説明しています。(分かりやすくするためパワー向上は割愛しています)
この3つをさらに細分化して5つに分けていますが、基本的には筋力アップ、筋肥大、筋持久力アップの欄にある3つの設定を参考にして下さい。
なお、設定表の数値は、資料によって若干の誤差がある場合がありますが、大きく異なることはありません。真中の部分を取ったり、共通の部分を取ったりすることで、十分に対応できます。
ただ、書籍などいろいろな設定表を目にした場合、混乱する恐れがありますので、自分が参考にするのはこれだと一つに決めて用いた方がいいかも知れません。
表の見方と計算例
【表の見方】
表の見方は左から順に、筋トレの目的、1RMに対する負荷の割合(%1RM)、その目的に効果的な最大反復回数(RM)、セット間の休憩時間となっています。
どれも重要な要素ですが、その中でももっとも意識しておかなければならいのが、筋トレの目的と最大反復回数(RM)です。
まずは筋トレをする際に筋トレの目的は何か、その目的に効果的な最大反復回数は何回かを、しかっり意識してトレーニングを行う必要があります。
次に最大反復回数を基準とした重量設定で重要となるのが、、1RMに対する負荷の割合(%1RM)と最大反復回数(RM)の関係です。
1RMの何%に重量を設定すれば、おおよそ何回反復できるかを表しており、筋トレの目的に合わせて設定を行います。
ちなみに、どのくらいの負荷を用いて行うかを決めたり、表記したりする際に、1RMに対する負荷の割合として「80%1RM(1RMの80%の負荷)」や「60%1RM(1RMの60%の負荷)」などと表記します。
【計算例】
例えば、筋肥大を目的に目標反復回数を8~12RMと設定した場合、2列目を見ると1RMに対する負荷の割合である%1RMは70~80%(70%1RM~80%1RM)であることが分かります。
このことから、1RMを100kgだとすると、
70%1RMは100kg×70%=70kgで推定反復回数は12回、
80%1RMは100kg×80%=80kgで推定反復回数は8回
と求めることができます。
(軽い方が多い回数、重い方が少ない回数となります)
逆に反復回数から1RM(MAX)を推定することもできます。
例えば、80kgで8回が限界だとすると、表に照らして8RMは1RMの80%であることが分かります。(少ない回数が大きい方の%になります)
計算すると、
80kg÷0.8(80%)=100kg
と求められ、推定MAXは100kgとなります。
なお、%1RMと反復回数の関係は、個人差や種目によってズレが生じてきますので、絶対的なものではありません。あくまで推定であることを認識しておいて下さい。
初心者は試行錯誤して重量を調節してみよう
初心者においては1RMから逆算して求めるのではなく、まずは適当な重量(基本は軽めに)で反復してみて、目標の設定回数を超えたら重量を増やし、下回ったら重量を減らすといったように、最初の内は試行錯誤して設定回数に収まる重量を見つけ出す方が安全です。
そのため、基本的には8~12RMなど「目的に応じた反復回数」を基準にして、そこに合わせる形で重量を調節するようにしてみて下さい。
目的に応じた強度設定
3つの目的に応じた強度設定の概要は以下の通りです。
詳しくは、動画講座をご覧ください。
筋力アップ
筋力アップに効果的な設定は、1セットにつき1~3RM。
つまり、1~3回が限界の高重量で行います。
休憩時間は2~3分と長めに取ります。
筋肥大
筋肥大に効果的な設定は、1セットにつき8~12RM。
つまり、8~12回が限界の中程度の重量で行います。
休憩時間は1~2分です。
筋肥大においてはセット間の長い休憩はお勧めできませんが、より短い休憩は効果を高めると言われています。
短くする場合は、30秒~45秒程度での休憩をお勧めします。
筋持久力アップ
筋持久力アップ効果的な設定は、1セットにつき20RM。
つまり、20回以上できる軽い重量で行います。
休憩時間は30秒~1分です。